【獄都事変】獄都で過ごす今日という日 ‐日替わり占い

7種類の結果パターン

「さて、どんな一日になるかな」　−木舌 - 2024年5月11日

《平腹》



「ひまー！」

「はいはい」

任務のない日の獄卒たちの時間潰しとは様々で、ある者は鍛錬に打ち込み、またあるものは武器の手入れをして次に来るであろう任務への準備をする。

が、今この空間――黄色い目の獄卒の部屋にいる二人の獄卒には、どちらの過ごし方もあまり取り入れてはいないようで。

部屋の主である黄色い目の獄卒は、武器として使っているスコップを床に適当に置き(というより放ってあるようにも見えるが)、ベッドに伏せるようにしてだらしなく寝転がっている。

そのすぐ横、ベッドの端に座っているもう一人の獄卒はそんな彼を横目に雑誌をぱらぱらと捲っていた。

「なんかさー、おまえのソレ、田噛みたい！」

「ああ、そういえば田噛もよく本読んでるよね」

「そうじゃなくて！」

抗議の目を向ける黄色い目の獄卒はその不機嫌さをバタバタと手足を動かして訴える。

雑誌からようやく視線を外した色付きの淡い目を持つ獄卒は、彼の言う「そうじゃない」の意味を理解できずに首を傾げた。

「何がそうじゃないって？」

「俺のことを、こう…目の前に居んのに構ってくれないところとか」

「軽くあしらう所とか」

「そう！そうそう！…って、自覚してんじゃん！」

がばっと身体を起こした黄色い目の獄卒…平腹は、膝を付いたまま淡い目の獄卒に近付いてから、ひょいと雑誌を取り上げた。

「あっ、ちょっと」

淡い目の獄卒が平腹の手に渡った雑誌を取り返そうと手を伸ばす。


が、惜しくも届かず。

平腹は取り上げた雑誌に目もくれずに、それを後方へ放り投げると雑誌に伸ばされた腕を自身の方へと引き寄せた。

「うわっ」

淡い目の獄卒は平腹の足の間にぼすんっ、と音を立てて腹から着地する。

生暖かい温度に思わず身を引きたくなるが、いつの間にか背に回されていた腕がそれを許さない。

仕方なしに上目に顔を上げれば、そこにはにんまりと笑みを浮かべた平腹の顔。

「お前が俺に構ってくれないならさ、俺から構ってやろうかなって！」


日常よく見る企み顔を浮かべる彼に、淡い目の獄卒はこの場から逃げる事をしぶしぶ諦めたのだった。



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会えたらちょっぴり幸福な獄卒

さいとう？

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