ありきたりな欲望

5種類の結果パターン

したたかな、欲 - 2024年5月3日

5.知識

賢くなりたい。誰かに認められたい。
膨大な知識を一度にインプットできたら…果てる先は未知を知らない自分でしょうか？



教科書を捲る。
ずらりと並んだ英文に目眩を覚えながらも必死に脳に叩き込む。
じゃないと学生の敵、テストに呑まれてしまう。
周りでバカ騒ぎをしている奴等に嫌悪感を覚えつつ、単語も覚える。
全く。このクラスの人間共は。
陰気でオドオドしている奴らか、自慢大好きな奴らか何も考えてなさそうな単細胞しかいないのか？
どいつもこいつも努力をしようとしない。
モテたい？なら必死で自分を磨けばいい。
人気者になりたい？なら必死で人を惹き付ければいい。
言うだけ言って、頑張ろうとしない。そういう人間が大嫌いだ。


「… チッ………」


私だって好きで努力をしている訳ではない。
ただ、将来のための知識が欲しいだけだ。
そして次のページを捲る。
すると、並んだ英単語がもの凄い勢いで流れ込んでくる感覚がした。


「ッ！？」


なんだこれ。
一気に情報が入ってくる。
まるで私の頭のディスクに新しい情報をコピーしている感じ。


「すごい…」


思わずそう呟いた。
試しに教科書を閉じ、ノートにさっきのページに並んでいた単語を書いてみる。驚くほどスルスルと出てくる。


「ふはっ…」


私は一人、笑った。
これで簡単に知識を取り入れられる。
無知なんてない。いや、まだまだ私には知らないことが膨大にある。
それを知って、私は世界の全ての物事を知り尽くしてやる。
大きな野望が生まれた。

そこからはもう、ありとあらゆる書物を読み漁った。
死ぬまでに全てを覚えないと……生きてきた意味がなくなりそうだった。
無知に恐怖心を抱くようになり、とにかく色々なことを覚えていくうちに学校にも行かなくなっていた。


「もっと…もっと勉強しないと……」


もう既に可笑しくなっていたのかもしれない。何も知らないという恐怖に脅かされていたんだ。
でも、もう止める術など＿＿＿＿

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