占いツクール利用者の気持ちとか。

5種類の結果パターン

最後まで読んで。 - 2024年4月26日

「書き方は無限大だと思うの」

唐突に切り出した私に一目もくれず、彼はコーヒーをすする。

「そうだね」
「聞いてるの？ ねえ」
「聞いてる。姉さんの話を聞き逃すわけ無いでしょ」
「ええ……？」
「惚れてくれて良いよ」

まあ実際はただのシスコンであるのだが。なんというか残念な弟の背中を一つ叩いてから、あのね、と話を続ける。

「文章の、書き方みたいな作品を見つけて。なんかな〜、って思って見てみたら、まあいわゆる台本書きの小説を貶してて、なんかな〜って」
「姉さん、日本語不自由みたい」
「うるさいよ」

ニッと笑った弟が、次の瞬間ゾッとするほど冷たい顔になる。

「書き方、というか表現のしかたに関しては、強要するのは無駄だし、頭悪いよね。姉さんは嫌いでしょ、そういうの。俺も嫌い」
「うん、だろうなとは思うよ」
「ベートーベンもモーツァルトも、彼らは素晴らしい作品を残したけど、二人は同じ作品は作らなかった。当たり前だよね。違う人間だもん。そんな当たり前もわからない人が書いてる作品なんて、気にしなくて良いよ」

呆れたようなため息は、憐れみも含んでいるような気がした。

「へえ、否定的なことを言うんだ」
「なに、どういう意味？ 俺は命令されるのも嫌いだから、そういう強制みたいなのは全部嫌い」
「ううん、私も一緒の意見だよ。……あっ、そろそろ行かないと」
「ん、行ってらっしゃい」

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