【終焉ノ栞】触れない糸【恋愛系日替わり】

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一人ぼっちの語り上手。

作り物の好かれ上手。

嘘つきな渡り上手。

真似ごと好きな貶め上手。

そして、裏に隠れたもう五つ。

縺れた糸には、触れられない？

「そんなことない」

＿＿＿＿＿＿＿

・・・・

終プロの恋愛系日替わりです。

＊ラインナップ＊

○通常○
A弥×２
B子
C太
D音
E祈

E記
A乃
B香
C奈
D介×２

○特別枠○
Secret(シークレット)×２

ほろ苦時々普通がほとんどです。
シークレットは極甘……かな？

なんでも許せる方はどうぞ↓

16種類の結果パターン

「…………。」 - 2024年5月4日

マリンさんリク
ー
「天気予報なんかアテにするんじゃ
なかった！！」

近所迷惑も甚だしい声を上げ、降り続く
豪雨の中を駆けていく。

気象予報士の晴れ予報は全くのデタラメで
あったのか。

＿＿バシャンッ

「い！？」

何もないところで派手にすっ転んだ。
幸い水溜まりでは無かったけれど痛いものは痛い。

と、突然、私の周りに打ち付けていた雨が、
そこだけ囲ったように止んだ。

「……大丈夫？」

頭上から降ってきた声に驚いて振り向くと、
A弥が私を見下ろしていた。

彼は傘を少し傾け、私から雨を妨げている。

「A弥！？だ、大丈夫！……いっ、た」

「……立てない？」
「え？」

「…別に、心配じゃない。
……ずっとその格好じゃ、恥さらしでしょ」

「あ！」

言われて初めて気がついた。制服は濡れて
泥がつき、スカートは端が破れてしまっている。

「…あ、はは」

もしかして、見られてた…？
…恥ずい。

「……僕の家、すぐそこだから休んでく？
なっ……なんなら、手当てくらいもできる、けど」

そっぽを向いて、A弥がそう言った。

「え、いいの？」
「…」

「…じゃあ、お言葉に甘えるね」
「…ん」

差し出された手に、私はありがたく
掴まった。

＊

「お風呂使わせてくれてありがとね」
「…いいよ、別に。雨止んだら帰って」

タオルで頭を拭きながら、隣にしゃがんで
手当てをしてくれているA弥にお礼を言う。

学校では怖そうな雰囲気だったけど、なんだ。
普通にいい人だ。

傘に入れて、肩までかしてここまで運んで
くれて。

……そのときは、ちょっと緊張した。
なんていうか、男子って感じの体つきで。

「…できた」

手当が終わって、A弥が私から離れる。

足首に撒かれた包帯は少し歪だが、
しっかり固定してくれている。

「ありがとう、A弥」
「…」

お礼を言うと、なぜか目をそらされた。
…謎な人。

外を見ると、雨が少し弱まっていた。

家にようやく帰れるかもしれないのに、何だか
寂しい。

すると突然、

「…ねえ、雨止んだら帰ってって
言ったよね。」

「うん」

「…もう少し、ここに居てもいい、よ」
「…えっ？」

小声で、彼が言った。

「…あ、えっと。今のなし」

「……うん」

部屋に静寂が訪れる。
彼と私の顔は、赤く染まっていた。

…雨が止むまで、もう少し。

＿＿さっきの言葉、もう一度言ってくれない
かな。

きっと今度はすぐに、うん、っていうよ。

【countinue?】