【黒バス】もし、世界滅亡のその時が来たのなら【日替わり】

11種類の結果パターン

『…本日、世界が滅亡します』 - 2024年4月27日

6.青峰大輝


「バスケ、しねぇと」

「…馬鹿じゃないの？」


賑やかだった昼食の時間、教室。

小型テレビから流れた信じ難い音声。

それを聞いた彼の口から一番に飛び出したのはそれだった。


「ばっ、馬鹿じゃねぇよ！」


顔を赤く染めながら否定される。

…今更すぎるよね、お前は馬鹿だ。


「んな微妙な顔してんじゃねぇよ、行くぞ！」

「はぁ？！」


転がった箸も弁当も放って、微妙な顔をする私の腕を引く。

騒ぎ立てる生徒達の間をすり抜け走る走る。

向かうは校舎内全員の向かう昇降口とは正反対。

帝光自慢の大きな体育館。


「まっ、お前、ほんと馬鹿！」

「またそれかよ？！」


運良く鍵の空いた案の定誰も居ない体育館。

息を切らした私達の声が反響する。


ふと何かを思い出した表情を見せる大輝。

そんな言い合いしてる暇ねぇ！

は？と返す前にボールを投げられた。


「YOU、女バスだよな」

「まぁ…」

「1on1しよーぜ」

「はぁ？！」


もう馬鹿という言葉が出ないほどまで呆れる。

この小学から腐れ縁の頭は、本当にバスケしかない訳？


「…仕方ないなぁ」

「さんきゅ」


一応、キャプテンやらせて貰ってる身。

…バスケ馬鹿じゃないワケ、ないでしょ？

私だって人生最後バスケをやりたいのは一緒だ。


お前女子だから。

と、なんとも舐められた理由で先攻を頂く。

若干イラつきを残しながらも深呼吸をし、指先に全神経を集中する。


「来いよ」


挑発的なその一言を合図に、履き心地の悪い上履きで踏切る。

そして大輝を置き去りにシュートを決めた。


「…なかなかやるじゃねぇか」

「舐めてると、痛い目みるよ」


もう１回、もう１回。


そう繰り返して行くうちにあっという間に日は傾く。

窓から橙の光が漏れる時間帯になった。


「はっ、私達、本当、の馬鹿なんじゃ、ないの…」

「YOUの、馬鹿、言う、んじゃねーよ」


お互い出し切り、体育館の冷たい床へと倒れ込む。


「大輝、馬鹿っていう方が馬鹿なんだよ」

「デカすぎるブーメランかよ」


はは、と二人して笑う。

首筋に浸る汗が心地よい。


「…またやろうぜ」

「何言ってんの。今日で世界は」

「また、な」

「…そうだね」


大輝の真剣な声色に、言いかけていた言葉を飲み込む。

また、大輝と。

そして、さつきやキセキの皆も一緒に。


…バスケ、したいなぁ。


約束な。

そう言葉を交わした。

瞬間、騒音と共に天井が崩れるのが視界に写った。

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