未来の予想はできないけれど【スマブラ】

9種類の結果パターン

Today’s fighter is…… - 2024年5月12日

【Sora】




「お待たせ！」


今日もソラは、明るくて優しくて、そして強かで。

歯を出して笑う無邪気な彼に救われた事、数えるには両手足の指じゃ足りない。


「昨日も言ったけど、今日は乱闘があるんだ。俺が戦うところ、ちゃんと見ててくれよな！」

『じぃーっと、ソラに穴空いちゃうくらいしっかり見てるよ！』


キーブレードを掲げてニヤッと笑うソラに、私も同じような笑みで返す。


『さ、早く行かないと他のファイターさん方を待たせちゃうよ？ スマブラじゃあソラが一番の後輩なんだから、失礼の無いようにしなきゃ』

「敵同士とはいえ、それぐらいは分かってるよ。礼儀は大事にしてる」

『つもりになってる、だけじゃない？ ……って、そういえば相手は誰なの？』

「クッパとカービィ！ 二人共戦った事ないんだけど……YOU、何か二人の弱点とか……」

『知らないよ、私はファイターじゃないんだから。何、不安なの？』

「歴戦のファイターを前に、何の対策も無しにいくのは……と思ったけど、YOUの声援があればなんともないか！」

『……手に汗握る展開にするために、応援控えめにしちゃおっかな』

「よせよせ、全力で応援してくれよお！」


冗談で言ったつもりだったが、ソラにとっては大分寂しい事のようで、大袈裟に腕をぶんぶんと振る。

これが素なのか、はたまた私のハートを撃ち抜くための策略なのか……いまいち分からないが、可愛いのでなんでもいい。


『ごめんごめん！ ちゃあんと応援するから、頑張ってきてね』


笑ってそう言うと、ソラはこれまた大袈裟に胸を撫で下ろしてから廊下を走り去って行った。遅れずにステージへ着けば良いのだけど……。



…………そのまま私は、廊下に立ち尽くした。


本当に私が応援に行かなくても、きっとソラは自分の100％を出して戦える。……彼自身も、彼の周りのファイターも、それは分かっているだろうに。

ソラが何故ここまで私に固執してしまうのか、分からなかった。



逡巡していると乱闘は終わっていて、廊下に設置されているモニターにはドヤ顔のソラが映し出される。そして彼は……



…………いつものように、虚空に向かって手を振った(・・・・・・・・・・・・)。

退場する彼と次にステージを使うファイター達がすれ違ったが、それには誰も触れない。全ファイターの"暗黙の了解"というやつなのだろう。



……君を君だけの夢の国へ閉じ込めて、ごめんね。







(台詞縦読み)

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