ひとつ、話をしよう。【被虐のノエル】

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この作品は、フリーゲーム「被虐のノエル」の二次創作作品です。

素敵な本家様とは一切関係ございません。

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鬱展開・メリバ多めの日替わり作品です。
思い付いたけど小説にするにはちょっとアレなネタとかを詰めてます。
恋愛色はあまりありません。
思い付きで更新するので偏りが激しいと思います。
それでも大丈夫！って方のみどうぞ↓↓

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▼ノエル・チェルクェッティ
「わたくしの名前」

▽カロン
「異形の大悪魔」

▼オスカー・ドレッセル
「初恋」

▽フーゴ・ドレッセル
「何かの間違い」

▼ゾイ・タスカ(トード)
「今や」

▽ラッセル・バロウズ
「捨て駒」

▼ジリアン・リットナー
「買えない想い」※

※男主

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css__byぷぅま様

7種類の結果パターン

今日の話。 - 2024年5月12日

ひとつ、話をしようか。

『久しぶりだな、ジリアン』

「うん。久しぶりだね、YOU」

ボクは今日、古くからの友人と再会した。
YOU・ヨーゼフ。お父さんの友人の息子なんだけど、ボクとは10以上も歳が違う。
物心ついたときには側にいて遊んでくれていた、ボクにとっては親戚のお兄さんみたいな人だ。

昔の彼はイケメンなヤンキーって印象だったけど、今はすっかり大人なおじ様って感じだ。
聞く話によると、市街地の端で酒場を経営してるんだとか。

「生活はどう？」

『まあ、少なくともあの頃よりかは楽だわな。客の入りもいいし、金もある』

高そうなジャケットのポケットから葉巻を取り出し、なんの断りも無しに火を付ける。子供(ボク)が目の前にいると言うのにお構いなしだ。
口から濁った煙を吐き出すと、彼は此方に視線を寄越してボクに問うてきた。

『お前こそどうなんだ。式典奏者とやらになったくらいだから、ちょっとは楽になったんだろう？』

ボクもYOUも、お世辞にも裕福とは言えない家庭で育ってきた。
その現実に不満を抱いたことはないが、打開したくないと言えば嘘になった。

貧乏な暮らしを変えたいと思ったYOUは開業し、成功させ、金銭的余裕を手に入れた。
そんな彼が同じ境遇で育ったボクを気にかけるのは自然の道理だ。

だが。

「……いい訳がないよ」

彼の返事も待たず、ボクは叫び始めた。

「式典奏者がなんだ！家もなくなって、親友も失って……ノエルはボクのせいで全てを失った！！ノエルはあんな道を歩くべき子じゃない！ノエルはボクだけが＿＿」

＿＿ぽとり、と何かが落ちる音がした。
YOUが吸っていた葉巻の灰だ。ボクの涙が落ちるより先に、彼の一服が終わってしまった。

気が付けば、彼と話し始めてから随分と時間が経っていた。どうやら、ボクは長い間ヒステリーを起こしていたらしい。
ボクが喚き散らしたノエルの話について、YOUは何の感想を告げるでもなく、

『大変なんだな、皆』

とだけ言って去っていった。

***

「聞きましたか？彼女の話を」

とある邸宅の一角で、二人の男が話している。

『……ああ。いいとこのお嬢さんでもテロリストに堕ちるってんじゃあ、結局世の中金でも何でもねぇってことだな』

「でも、金銭がなければ、大切な人一人を救うことも出来ない。最終的に世間は金で回ってるんですよ」

片方のその言葉に、片方は葉巻を咥えつつ答えた。

『……金で買えると思ってるのか、今の彼女が』