誰と何をする？

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日替わり小説です。
なんでもない日常を、あなたと。
さて、お相手は誰になるでしょう。

【テイコウペンギン】
・ペンギン
・パンダ
・シャチ
・ホッキョクグマ

【全力回避！フラグちゃん】
・モブ男
・モブ美
・死亡フラグちゃん
・生存フラグさん
・師匠
・神様

10種類の結果パターン

本日のお相手 - 2024年5月3日

今日のお相手は【全力回避！フラグちゃん】の［モブ男］さんです。

「よっ！元気？」
物陰から、某携帯獣宜しく飛び出してきたモブ男さんを危うく蹴り飛ばすところだった。
耐えた私を、誰か褒めて欲しい。

「こんにちは！ぼちぼちですよ」
ニコニコと愛想を振りまきながら、早く別れたくて仕方なかった。ひとりになりたい。
元気です。なんて返事をしたくなくて濁すとうんうん頷かれた。

「まあそんな日もあるよね」

うるさい。じゃああんたはどんな時もそのTシャツのようにハッピーなライフを送れてるってことか。
これ以上一緒にいると毒を吐き散らかしそうで、じゃあ、と別れを切り出す。

「私、そろそろ行きますね」
「あ、ちょっと待って」
「なんですか」
しまった。返事がトゲを帯びてしまった。
「えっと、そのね」
まごつく彼に、取り繕った笑顔の裏で泣きたくなっていた。だから早く行ってしまいたかったのに。
ポツリ、零れたのは自分の涙かと思ったがどうやら違ったらしい。急に降り出した雨は瞬く間に勢いを増し、あっという間にふたりとも濡れ鼠になってしまった。
「こっち！」
手を引かれて走るなんて、まるでドラマのようだ。なんて考えながら軒下に逃げ込む。
「結構降ってきちゃったね」
服に染み込んだ水を払う他人事な彼に、思わず呟いた。
「誰のせいだと思ってるんですか」
「ええ！オレのせいなのかい！？」
慌てる彼に、心のモヤが少し晴れる。
「ふふ、すみません」
「いや、オレこそ……」
引き止めちゃってごめんねと、自身のせいにされる事に抵抗を覚えていたはずの発言に目を瞬かせる。
「なんか元気なさそうだったから」
ざあざあとバケツをひっくりかえしたように降っていた雨はだいぶ弱まっていた。ゲリラ豪雨様々だ。
「……あ！見て！！」
気まずそうにモジモジしていた彼が空を指す。
大きな虹が、空にはかかっていた。

緩やかな曲線にカラフルな色。そういえば、上を向いて歩かなくなったのはいつからだったか。足元をすくわれるとか、余裕が無いとかそんなことばかりで空の青ささえ、忘れていた気がする。
気に病んでいたことが払拭された訳では無い。
私たちは濡れ鼠のまま、服が乾く訳でも無い。
それでも、さっきより軽くなった心だけ確かにあって。

「モブ男さん、ありがとう。少し元気になれました」

素直になりきれない私は、彼に笑いかけた。

***

「うん、無理してないね」
「えっ」
「きみ、気づいてないかな。案外分かりやすいんだよ」