【文スト】 い ろ い ろ 金 平 糖 【日替わり】

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あまーい色で染めてあげるよ。君は何色が好き？ - 2024年5月6日

ちくちく、ふわふわ、あまあま。

あたしの彼は優柔不断の金平糖みたいな人です。

気まぐれに振り向いて見せる笑顔はあたしを困らせるのです。



太宰治：水色金平糖みたいに



水色のワンピースとちょっといつもよりお洒落した髪型。くるりと回ればスカートの裾が揺れる。
ひらひらさせてそのまま彼の袖を引いた。


「ねー太宰さん、太宰さん」


まるで小さい子みたいにくいくいと引っ張れば如何にも不機嫌そうな顔で振り向いた。
太宰さんのちょっとだけ茶色がかった髪が揺れる。

子供みたいに拗ねてる癖にそーいうとこだけ色っぽいのは狡いと思うのだけど。恥ずかしいから言わない。



「こんな早朝に起こしに来て一体何だね…」


目をごしごし擦る太宰さん。全然洋服のことに触れようともしない。


ねぇねぇ太宰さん、今日はあなたのためにお洒落をしました。自分から言うのは何か違う。

わざとらしくもう一回転、スカートの裾をひらひらさせた。ドヤ顔で振り返る。
それでも太宰さんは知らんふり。ぴょんとはねた髪の毛を手で触っては大きな欠伸をひとつ零した。



「む…」


太宰さんは時々意地悪だ。女の子にはモテるからそういうことには慣れてる筈なのにほら、今だって知らんふり。


あたし怒るよ、もう知らないよ。ふいっと顔を逸らして見せた。



そうすれば今度はあたしが袖を引かれる番。太宰さんの包帯の巻いてある手に引かれた。
細いのに力強い手、嫌いじゃない。


したり顔で振り向けば、太宰さんはやれやれというように肩を竦めてあたしを背後から抱きしめた。
ぎゅー。心臓が痛い。


「よく似合ってるよ、そのワンピースも髪型も。YOUは水色が良く似合う」


ふわふわ、優しい声。大好き。


「…まぁ私はYOUがどんな服を着ようと可愛いと思える自信があるけれど」


耳元に小さく口づけ落としながら言った太宰さんの言葉に肩が揺れた。


「…ばーか」


「馬鹿で結構」




ふふ、と笑った。


仕事の時の顔も寝てる時の顔も意地悪な顔も全部ぜんぶ好きだけど、

やっぱり一番はその笑顔なのです。

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