5種類の結果パターン
あなたの本日の占い結果です - 2024年4月27日
今日は【小吉】
屋上にはためくシーツを見ると、つい屋上に登りたくなる。
そこに、彼がいると知っているから。
「あれ、転校生さん。転校生さんも校内アルバイトですか？」
「ううん。資料を読まなきゃいけないんだけど、こんないいお天気だから」
「それで屋上ですか」
お疲れ様です、と微笑む紫之くんに、私の本当の意図はバレていないらしかった。ほんとうは、紫之くんに会いたかっただけ。
「この辺、借りてていい？ 仕事の邪魔はしないから」
「ええ、どうぞ。少しシーツがうるさいかもしれませんけど」
「大丈夫よ」
少し離れたところのベンチに座り、資料を広げる。紫之くんは、手際よくシーツのシワを叩き広げ、テンポよく干していく。
視線を資料に無理やり戻す。もっと紫之くんを見ていたいけれど、仕事の方が優先だ。
いつしか、私は資料に没頭していた。
「あの、転校生さん」
肩を叩かれて、私は飛び上がりそうになった。紫之くんが心配そうに私を覗き込んでいる。
「もうそろそろチャイムが鳴っちゃいます。差し出がましいですけど、予鈴にも気づいてないみたいだったので……」
「え、もうそんな時間！？」
没頭しすぎたらしい。すでに校庭には人影もなく、本当に授業ギリギリのようだ。
「教えてくれてありがと！」
「いえいえ。手伝いますよ」
資料をまとめるのを手伝ってくれる紫之くんに申し訳なさを感じていると、校庭からひなたくんと鉄虎くんの騒ぐ声が聞こえて来る。それを聞いて、紫之くんは硬直した。
「僕、次、体育でした……」
「え？！」
もう本鈴まで2分もない。これから着替えるのでは間に合わない。
「先行きなよ、資料は自分でやるから、ほら！」
「す、すみません！」
紫之くんを先に行かせることにして、ぐいぐいと背中を押す。真っ青な顔の彼は、慌てて階段を降りていった。
私もさっさと資料をまとめて後を追う。私はギリギリ間に合ったけれど、紫之くんは間に合わなかったようだった。
午後の授業を受けながらぼんやりと思う。
紫之くんは次が体育の授業だって忘れるほど、何に没頭してたんだろう。
私は資料読みに没頭してた、彼は何に？
洗濯物はすでに干し終わっていたから、それじゃあない。
「まさか、彼も私が好きで、私に見惚れてた……なんて」
そんなはずはないな、と苦笑する。
自惚れが過ぎる。慎むべし、慎むべし。
それが自惚れでなかったことが発覚するのは、ずいぶんと後の話である。
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作者名：瓏琳 | 作成日時：2017年3月27日 17時
