夜風に吹かれて一時の逢瀬を。【MTC】

8種類の結果パターン

馬と兎と鶯、それから、それから。 - 2024年4月27日

MTCのディビジョンラップバトル後。惜しくもシンジュク、麻天狼に負けてしまった3人とポートハーバーに来ています。

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「あらあら、しっかり酔い潰れてるわね。」

アミリアさんが少し困ったように笑う。たしかに彼らは三種三様の格好で眉間にシワを寄せながら寝ている。相当悔しかったのか普段は日本酒ばかり飲む左馬刻さんがウィスキーのロックを煽っていたところが印象強く残った。

「入間くんを起こせば毒島くんは連れてってくれるだろうから碧棺くんをお願いしてもいいかしら…??」

そう言われて静かに頷く。こっそり近づいてとんとん、と肩を叩くとむぅ…と顔を起こした。

「あの、左馬刻さん…帰りましょう??」
「あ"??…あー、YOUか…。」

寝言のように呟いたその瞬間、彼の腕がこちらに伸びてきた。何が起こるか分からず、迂闊に拒めなかったのでそのままにするといつの間にかさながら抱きまくらのように抱きこまれていた。

「…勝ちたかった。」
「…はい。」
「…勝てると思った。」
「私も思いました。」
「…合歓…。」
「次の試合ではきっと会えますよ。」

珍しく弱音を吐く彼はとてもしんなりしていて、いつもの威勢が少しも見えてこない。少し可哀想になるくらいだ。

「次は、絶対勝ちたいですね。」
「…あぁ。」
「大丈夫、合歓ちゃんにも会えます。」
「…あぁ。」
「…そんなにしなしなの左馬刻さんは誰も見たくないですよ。」
「…あぁ。」

ぎゅっ、とより強く抱きしめられ、それだけ悔しいんだなぁと改めて感じる。彼をほんの少しでも元気づけるにはどうしたらいいだろうか。

「左馬刻さん。」
「…なんだ。」
「今何して欲しいですか。」

そう聞くと、ほんの少し悩んで小さな声で『ちゅー』という。いつもの彼では絶対に言わないそのセリフに思わずキュンと来てしまった。

「分かりました。おでこでいいですか。」
「…だめに決まってんだろ。」

ガバリと顔を起こした彼の顔が一気に迫ってきて、唇に柔らかなものが触れる。驚きのあまり開いた口に舌が入ってきて、ふわふわと頭が酔ったようにぼやけた。

「…っふぅ…落ち着いた。さんきゅーな。」

まるで先程のしおらしさはなくなり、いつもの笑顔が戻った。

「まだ、やることが残ってる。」


そう言い放つ彼の言葉はもう既に希望に満ち溢れていた。

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