【HQ】稲荷崎に愛され隊。【日替わり】

13種類の結果パターン

どの狐がお好きですか - 2024年5月6日

ちょうど、大好きなクリームパンを食べようとした時だった


｢真代ー、こいつが何か話ある言うとるでー｣

自分の名前が呼ばれた方向、つまり教室の入り口に目を向ければ、こちらに手招きをするクラスの男子と、確か委員会が同じだったはずの他クラスの男子が居て。


…またか。

高校に入って、俗に言う告白というものを何回かされた


ちょっと身なりを整えただけなのに、人というものはなぜ上辺しか見ないのだろうか。

委員会で1、2回しか話したことのない男子のそわそわした姿を目にし、煩わしい、なんて思いながら｢今行く｣と返事をした


一緒に食べてる友達に一言伝えて立ち上がり、入り口に向かって足を踏み出す




｢お前に告るやつ、趣味悪いんやなぁ｣

…が、わざとらしく聞こえるように言われた大声のその言葉に、ぴたりと立ち止まった


｢見た目なんて、まぁそこそこってくらいやん｣

にやにやとこちらに歩いてくる金髪を一瞥する

憎まれ口叩くことは忘れないその精神、逆に尊敬するわ…


自分の目の前で立ち止まったそいつを、見上げたついでに思いっきりじろりと睨んだ



｢喧しいわ、クソ侑｣

｢女子のくせにお前ほんま口わる｣

｢お前はほんま腹立つ｣

尚も、整ったその顔をにやりと歪めながらこちらを見下ろす侑に、ぴしゃりと言い返す


＿＿せやけどほんま、なんでこんな性格ポンコツやのに、顔だけはいいんや、こいつ。

そう思って、負けじと

｢あんたがブスやったらええのに｣

とそっぽを向いて呟けば、

｢嫉妬せんでええて。見苦しいで｣


なんて言って、今度はにっこり笑う

いやほんま、教室やなかったら殴っとる。


そう叫びたい衝動を抑え、再び男子がいる方へ向かおうと、侑から顔を逸らして1歩踏み出した

のに。

通すまいとそいつがまた目の前に立ちはだかる


｢ちょ、邪魔なんやけど｣

｢お前みたいな女、すぐ見捨てられるて｣

｢はぁ？｣

いや、それは相手によるし、どうか分からんやろ、と顎で入り口を示して返す


侑といえば、ふぅん、と、何か企むかのように口の端を上げて。




｢なんなら、俺が貰たるわ｣

｢………は｣

｢俺だけやろ、お前みたいなん相手できるんは｣


一瞬、何を言われてるか理解出来なくて、体が硬直する



｢ちゅーわけで、諦めてもらうで｣

入り口で固まる男子にそう告げるそいつの言葉の意味を、数秒遅れてやっと理解した




…いや、熱いんは、気の所為や…絶対。


息苦しいくらい、心臓が痛かった。

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