【テニスの王子様】年下彼氏-社会人編-

6種類の結果パターン

年上彼女×テニプリ男子 - 2024年5月9日

年上彼女×幸村精市 -駅前で待ち合わせ-


待ち合わせの5分前。
目立つお洒落な広場の時計の前に、彼はずっと背筋を伸ばして立っていた。

『精市！』

ぱっと振り返った彼は花が綻ぶように微笑んで。

｢ふふ、そんなに走ってこなくてもいいのに｣

『精市の姿が見えたから…それに、待たせちゃったかなって思って』

｢何言ってるの。まだ待ち合わせの5分前だよ？俺もさっき来たところだし、全然待ってない｣

『そう？よかった』

｢それに、YOUと会えるならいくらでも待てる｣

『う…えっと、よし、行こっか！精市が行きたいって言ってたカフェ、予約したんだ』

｢ふふ。そうだね｣

露骨に話を変えた私にいたずらっぽく微笑みながら、精市は私の隣に並んだ。



2人で他愛もない話をしながら、駅前の通りをカフェに向かって歩いていた時だった。

｢…あれ？YOU先輩？｣

『…っ、あ…』

ふと声をかけられて振り返ると、会社の後輩が私服姿で立っていた。

｢奇遇ですね！こんな所で会うなんて｣

彼は私達に駆け寄ってくると、精市の方を向いて問いかけた。

｢弟さんですか？｣

瞬間、私の中で何かが凍りついた。


分かってる。社会人の私と、学生の彼。
一歩間違えれば犯罪だし、とてもじゃないけどカップルには見えない。

良くて姉弟、最悪親子だ。

ぐるぐると思考が悪い方向へ落ちていき、目線も下がっていく。

精市に会えて嬉しかった気持ちも、落ちて行ってしまいそうな時だった。


｢いいえ。彼氏です｣

ふわりと肩に手を回されて、ぎゅっと抱き寄せられる。

はっと見上げると、にっこりと笑う精市と目が合った。

｢じゃ、デートの途中なんで失礼します｣

するりと腰に手が回されて、反対の手で手を引かれる。

見上げる彼は優しい表情でありながら凛と前を向いて、歩いていた。


しばらく歩いて、唖然と残された後輩と離れた頃。

不意に精市が私の方を向いて少し唇をとがらせた。

｢…YOU先輩、ねぇ…｣

『…っあ、えっと、同じ部署に同じ苗字の人がいて…』

｢…ふぅん、それじゃあ仕方ないね。でも…｣



妬けちゃったから、恋人らしいこと、させてね。


そう言うと精市は、そっと私の手を持ち上げて、手の甲に唇を落とした。


『せっ、精市…！』

｢本当は唇にしたいところだけど、外だからね｣

精市はいたずらっぽく微笑むと、するりと私の指に指を絡ませて手を引いた。



｢さ、デートの続きをしようか｣

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