コイユメ。ver.天月

12種類の結果パターン

「月が綺麗ですね…………なぁんてね。」 - 2024年5月2日

Case4.《花火》


『花火大会、行かない？』


新着メッセージの通知が来たから見てみると、こんなメッセージが来てた。


　 『何日のやつ？』

『明日』

　 『予定ないからいいよ』

『よかった！』

『じゃあ、明日の17時に駅集合ね』

『浴衣着てくから、YOUも浴衣で来てね』



ＯＫのスタンプをつけて、私はクローゼットから浴衣を出してみた。

白地に躑躅の花。


…………久しぶりに着るなぁ。

前は背伸びしすぎたかもって思ってたけど、今なら似合うかな……？





『…………浴衣似合ってるよ、YOU。』


次の日駅に着くと、先に来ていた彼にそう言われて、

とくん、と心臓が跳ねた。




それにしても…………


駅集合、電車…………そして屋台。


自分では気づいてないけど、彼はとてもかっこいいから、

女の子の視線をすぐ集めてしまうわけで。




『ねぇ、あの人天月さんじゃない？』

『え、じゃあ隣にいるのって…………』



ヤバい、バレてる。

無邪気にイカ焼きを頬張っている馬鹿に耳打ちする。



『えっ？ うーん、マズイね…………
　あ、そうだ、あっちに人の少ないところがあったんだった。
　はぐれちゃダメだよ、YOU。』


そう言って、つっきーは私の手をしっかりと握って歩きだす。

少し歩くと、大きな木がある小高い丘に着いた。




『ここなら大丈夫。
　……もしかして、そろそろ始まる？』


木にもたれ掛かったつっきーに、イスあるよと呼び掛け座らせると、

一筋の光が空へとのびて、一つ目の花火が咲いた。






しばらく無言で時間が過ぎていった。

周りに人はいなくて、花火のヒュー、ドンという音と、遠くの人の喧騒が聞こえる。






『綺麗だね、YOU。』


いきなりどうしたのかと思ってつっきーの方を見ると、

こっちおいで、と手招きされる。

言われるままに近づくと、彼の足の間に座らせられた。



『わ、いきなり何…………！？』

『ダメ、暴れないの。』


立ち上がろうとすると、腕で拘束された。

潔く諦めて、彼に体を預ける。


『そういえば、YOUの着てる浴衣の柄って、何の花？』

『…………ツツジだよ、赤の。』



赤いツツジの花言葉は、「恋の喜び」。

これを買った年に、あなたのことが好きだって気づいた。


…………そろそろ、私の思いに気がついてくれませんか。







Thank you for your reading!
『評価してくれたら、来年も誘うから………！』

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