【H×H】 恋に涙はつきもの

8種類の結果パターン

あなたの本日の占い結果です - 2024年5月11日

ーーシャルナークーー

静かなホームに響く、カタカタというキーを押す音。
決してその音にブレはなく、一定の間隔で鳴り響く。


何気なく近づいて、揺れ動く金髪を見つめる。
仕事に集中してるあなたは、何か危害を加えられない限り何も反応しない。

しばらくそうして隣に座っていると、唐突にタイピングの音が途切れる。



「あれ、もう終わったの？」



残念。


あなたが仕事をしている間はいくらでも至近距離で見つめられるのに。
だから私はいつもこうしてあなたに接近する。

それしかあなたを近くで見れる方法は思いつかないから。




「ねえ、そんなに俺見てるのって楽しい？」



パソコンを閉じながら、そう聞かれる。

不思議そうな、でもその問いを発したことを後悔するような表情。
それが綺麗だって言ったらあなたはどんな表情を見せるのかな？




だけどその問いには答えられない。

きっと私が嘘をつけばあなたにはそうと分かるから。
本当のことを言ってしまったら、あなたは私をもう殺すしかないから。


それがわかっているから今あなたは後悔の表情を浮かべているんでしょ？



だから私の答えは沈黙。




「蜘蛛に不利益を与えたら……もう殺すしかないから」



その言葉に込められた僅かな殺気。そしてかすかな戸惑い。


殺気の矛先が私から外れる。


「……もし私がリークすると判断したなら殺しても構わない」



その言葉に、あなたは僅かに表情を強張らせた。





私はマフィアから送り込まれたスパイ。


ヨークシンでの事件で損害を受けたマフィアがそのままやられっぱなしでいられるはずがない。
だから私を送り込んだ。





彼はそのことをわかってる。
彼ほどの情報探知技能があれば、私の経歴ぐらいすぐ調べられる。



だけどあなたはそれに気づかないふりをしている。





もしそれに気づいていると認めたら、あなたは蜘蛛として私を殺すしかないから。






もし私が蜘蛛に危害を与えるような挙動をしたら、あなたは即座に私を殺す。
そしてそれに抗う術は私にはない。


だから私は沈黙する。
スパイだと認めもしないし、マフィアにも情報を流さない。



そうすれば私はまだあなたの隣に堂々と座っていられるから。






敵同士。
だけどお互いがお互いに好意を抱いている。


それが私たちの関係。




だから私たちは、敵だと気づいていないふりをして今の関係を維持するしかない。


おそらくそれが崩れるのはそう遠い未来ではないけれど。

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