【ハイキュー!!】ふたりだけ

14種類の結果パターン

日々の記録 - 2024年5月6日

▼△▼△▼(研磨の話の続きです)




「犬岡と何話してんの」



唐突に耳に響いた研磨の声。顔は見えないけど結構距離は近い。



「あー…映画観に行きませんかって」



「…ふーん」



なんて、興味無さそうに返事する。またゲームに戻ったんだろう。



胸が締め付けられるような感覚が襲ってきて苦しい。気を取り直して文字を打とうとする。



「ダメだよ、行っちゃ」



「…いや、映画くらいいいでしょ別に」



「…ダメ」



胸の奥からドロドロとしたものが込み上げてくるのが分かる。制御したくても抑えられない自分の口がゆっくりと開く。



「ダメって何？散々ほったらかしといてさ」



目頭が熱くなり声が震え始めた。止まってよ、私の声。



「今更…」



ボロボロと涙が一斉に流れ、頬を伝う。顔が歪んでいく。その場から逃げ出したくて立ち上がろうとすると、



何を思ったのか真正面からいきなり抱きついてきた研磨。状況が上手く飲み込めない私は一瞬フリーズしてしまった。



「え……？」



「俺、ずっとどうすればいいか分かんなくて。…不安にさせてごめん」



おろおろしながらも一言ずつ噛み締めるように話す研磨。



きっと彼なりに色々考えてはいたけど、私の反応が怖くてなかなか行動化できずにいたんだろう。



引っ込み思案な性格は誰よりも分かっていたはずなのに。自分の普通を押し付けていただけだった。



「私もごめん、言い過ぎたよね」



ごしごしと頬を伝う涙を強引に拭う。すると驚くことに研磨も目の下に指を添えて、優しく拭いてくれた。



「YOUが泣いてるとこ見たらすごい胸が痛くなって、そしたら、体が動いてた」



「うん」



「あと、犬岡と仲良いこと、結構前から嫉妬してた。だから行かないでほしい…」



「うそ、嫉妬してたの？」



研磨はぽつりぽつりと自分の想いを言ってくれた。その間も私はずっと抱きしめられていて、温もりが直に伝わってとても心地がよかった。



そしてなにより、彼が私のことをこんなにも考えていてくれていたんだと知って、そのことにまた泣きそうになってしまった。



「なんか、こんなに話したの初めてかもね」



「うん、そうかも」



「じゃあ、これからは一日一回絶対にハグするっていうのはどう？」



「え、」



「嫌？」



「むしろご褒美でしょ…」



互いに赤い顔して、ふふっと笑い合った。




▼△▼△▼

【孤爪研磨】＊すれ違い＊

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