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今日は、どんなカレシですか。 - 2024年5月2日

「なんでさー、他の男とくっつくの?この及川さんにぜーんぶ言ってみて?」

放課後、教室｡

きっと校舎には＿＿少なくともこのフロアには＿＿誰もいない｡
外から野球部の挨拶が小さく聞こえる程度で、他の音はなにもしない｡
彼が私の五感を支配しているような錯覚に陥るほどだ｡


「……別に、くっついてなんかない、です…」

「俺から見たらくっついてんの。別に喋んなとかは言わないよ?俺だって女の子たちとおしゃべりしちゃうし?…でもさぁ」


面倒くさい、なんて何回思ったろう｡
自分は好き好き言われて可愛い女の子たちにきゃいきゃい囲まれて｡
それで私には、『くっつくな』?何それ､
今日も腕組まれてたじゃん、可愛い子に｡
おっきい胸押し付けられて、デレデレしちゃって、なにさ、なにさ､


「じゃあ自分はどうなんですか」

「YOUちゃん?」

「たくさん可愛い子つれて、くっつかれて、なんなんですか、自覚あるんですか、私の彼氏だって、言ってくれたっていいじゃないですか、」

ああ、ここで泣いちゃダメだ｡
そう思ってるのになんだか自然と溢れる涙｡
顔を見られないようにしたを向くけど、きっと声でバレてしまっているだろう｡

ばか、ばか、及川さんの

「…ばか」


そう言って、次の言葉を探している内に、顎を掬われ、唇は塞がれた｡
びっくりと少々の嬉しさで、涙が引っ込んだ｡


「なに、言わせてればさ」

「……だ、って」

「俺だってYOUが一番好きだし、一番大切で、一緒にいたい。」


素直なところも、かわいいところも、気配り上手で器用なとこも、若干ネガティブな思考も、嘘をついたら頬を掻く癖も、全部、全部､

「好きだよ、YOU」


その言葉で、また涙は溢れた｡

ああ、そうか、気にすることなんてなかったのかな｡


私は及川さんが好きで､
及川さんは私が好きで｡


それで、いいじゃないか


「……及川さん」

「ん?」

「…………あれ以上女の子に引っ付かれたら次はないですからね」




その日から、及川さんの回りの女子の群れは消えたかの如く姿が無くなってしまったそうな｡

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