【刀剣乱舞】バレンタインの話

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簡単に言えば「バレンタインだから審神者と刀がキャッキャッする」そんな話です。

正直な話、下記のプロローグの「爆発すべしリア充」までは全て作者の話です。悠希です。

現在いる刀剣男士
薬研藤四郎
燭台切光忠
大倶利伽羅
へし切長谷部
鶴丸国永

※注意点
・バレンタインという性質上、審神者は女(一人称:私)です。

・かっこいい刀剣男士はいません！

・各刀剣男士達は作者の解釈で書かれています。
思っていたのと違う！という時は本丸個体差ということでそっと流してくださるとありがたいです。

・今回は和室です。本丸で近侍と仲良しするあの部屋だと思っていただければ。

よろしければどうぞ↓

***

今日は2月14日。だからなんだって話だ。
現代ではバレンタインだのなんだのとはしゃいでいるのかもしれないが、現代に恋人を残してきたわけでもない私にはまっっったく縁がない。爆発すべしリア充。

……まぁ、この日にかこつけて、日頃頑張ってくれてるみんなにお礼をしようとは思ってる。ちゃんと人数分、市販のだけどチョコも買ってきた。さすがに50近いチョコは作れないし。とりあえず入ってきてもすぐには気づかないような机の影にチョコの包みをいれた袋は隠したけど。

5種類の結果パターン

あー、誰か部屋に来てくれないかなぁ。 - 2024年5月5日

「主、失礼してもよろしいでしょうか」

寒いから閉め切っていた障子の向こうから声が聞こえる。長谷部だ。「入っていいよー」と答えると、なにかを横に置いた音の後に、「失礼します」と言って障子を開けて、書類を持った長谷部が入ってきた。

「先日の夜戦の件なのですが」

「あぁ、それか」

しばらく真面目な話をしていると長谷部がそわそわとし始める。表向き何でもないように振舞っているけど、ちらちらと廊下に置いてきたものを見ているらしい。

「長谷部、何気にしてるの？なんかある？」

「あっ、いえ、主がお気になさることでは……」

「さっき、何か持ってきてたでしょ。廊下に」

そう言うと長谷部はうっと言葉に詰まった。「取ってきてくれていいんだよ？」と笑うと、おずおずと立ち上がって廊下に置いたものを取りに行く。その隙に袋の中からチョコの包みを一つ取り出した。

長谷部は何かを後ろ手に隠して、うつむき加減で戻ってきた。座り直して、意を決したように顔を上げた長谷部だけど、私の手の中にある包みを見て出鼻をくじかれたようだった。呆然としている長谷部の前に包みを置く。

「あの、主、こちらは……」

「バレンタインだから。知ってる？」

「えぇ、もちろん。今日はそのために来たんですから」

長谷部は手を前に持ってくる。その手の中にあったのは押し花がされた栞だった。花には詳しくないけど……、スミレ、かな？

「バレンタインは慕っている人に花や思いを書いた手紙を渡す日だと、書物で読みました。生花ではすぐに枯れてしまいますから、押し花にして。栞ならば裏に言葉も書けますし」

栞を受け取って裏返すと、確かに何か書いてあった。でもこれ草書だ読めない。

「これ、なんて書いたの？まだ草書は勉強中でさ。教えてよ」

尋ねると長谷部の耳が赤くなった。顔にはあんまりでないけど、長谷部は褒められたり恥ずかしかったりすると耳が赤くなる。口ごもって答えづらそうにしている長谷部に最終手段・主命を投げつける。思わず俯いた長谷部が珍しく頬まで赤くなっている。

「あ、愛と、貞節を、……捧げます……と…………」

なんだこいついじらしすぎんだろ。辛い、うちの長谷部が尊すぎてマジ国宝。知ってた。
頭を抱えて身悶えている隙に長谷部はいつの間にかいなくなっていた。ちゃんと渡したチョコは持っていったらしい。まあいいか。