【ジョジョ日替わり】伝われ、この想い

19種類の結果パターン

今日は… - 2024年5月4日

｢じゃあねー！｣
｢うん。また明日ー｣

帰りのホームルームが終わり、友達が次々と帰っていく。
さて、私も帰ろうかとカバンを背負うと、先生が自分の名を呼んでいるのが聞こえた。

｢YOUさん、ちょっといいですか？｣

視線が合えば、それは下校時刻延長の意味。はぁ、とため息をついてから先生の元へ駆け寄った。




｢もう誰もいなくなっちゃった｣

先生から開放された時には既に三十分を越し、校内には誰も残っていなかった。

｢委員会の仕事なんて明日でもいいのに…私以外みんな帰りやがってこのやろう｣

そんな愚痴をぶつぶつと呟きながら外へ出る。そして、そこで初めて気がつく。

｢土砂降り…｣

天気予報は見事に外れたらしい。快晴が続く？これは快晴とは言わないぜ？
YOUは先程から続く不運に、またため息を零した。


｢あれ、YOUさん？｣

ふいに誰かの声がYOUの鼓膜をくすぐる。
振り向くと、隣の席の花京院典明が手を振っていた。成績優秀で性格も穏やかな彼は、YOUの友人であった。

｢花京院くん…？｣

すっかり帰ってしまったと思っていたので、変な声が出てしまう。

｢傘持ってないの？良かったら一緒に帰らない？｣

紳士的な笑みを浮かべながら、自分の傘を指さす。
ラッキー…！YOUは｢うん！｣と屈託のない笑顔で返した。





｢ありがとう。困ってたんだ｣
｢いえいえ。家も同じ方向だしさ｣

高校生二人が同じ傘の下、雨をしのぐ。
ドラマや恋愛小説でしか見たり読んだりしなかった行動に、少し鼓動が早くなる。
先生の呼び止め、突然の雨に感謝をしながら、帰路を二人で歩く。

｢そういえばどうして学校に残ってたの？｣
｢あぁ、先生の手伝いだよ。今までもよく残って手伝ってたんだ｣

人懐っこい笑顔でそう話す。根っからの善人とは彼のことを言うのだろう。YOUはそんな彼のことを、いつからか意識するようになっていた。

友人から、恋愛対象へと。




｢今日は本当にありがとう！｣

YOUの自宅の前。雨がだいぶ弱まった頃、無事にYOUの家に到着した。

｢とんでもない。役に立てて良かったよ｣

ふわりとまた笑ってみせる。かっこよすぎか、と思いながら門を開ける。

と、ふいに左腕を掴まれた。
｢はぇ？｣と間抜けな声を出すと、ぐいっと引っ張られる。そしてそのまま花京院の左腕に包まれた。

｢じゃあね、また明日｣

YOUを離し、あの笑顔で手を振り帰って行く彼は、本当に策士な奴だ。

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