【文スト】 贅沢な恋をアナタに

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贅沢な恋をアナタに＿＿＿＿ - 2024年5月8日

【包帯と湿布と温もりと】




よく晴れている天気とは裏腹に、水で濡れた服が重い。と云うか今私の肩に乗っかかっている男が重い。

「な、んで！私まで濡れなきゃいけないんだッ…！！」

ドサッと医務室のベットに男を乗せる。

与「全く何してンだい。ほら、使いな。」

「あ、有難う。」

与謝野に渡されたのは湿布。妾は買い物に行くからと医務室を出て行った与謝野の背中を見送り、ベットに視線を戻す。

太「いやァ済まないね。何せ良い川が在ったから。」

「いや在ったからじゃなくてね、私の腕まで引かないでくれる？お陰で服はびしょ濡れ。腕は思いっきり打ったし。」

ほらと腕を見せる。青痣が出来ている箇所に、与謝野に貰った湿布を貼ろうとするも不器用な私には至難の技。中々貼れないのをいい事にケラケラと笑う太宰を少しばかり睨む。

「いや太宰の所為だからね？判ってる？」

太「判ってるとも。お詫びに貼ってあげるから腕貸して。」

此処でムキになっても仕様がないので渋々太宰の云う通りにすると良い子と頭を撫でられる。

「…私成人ですけど？」

太「ふふ。可愛かったからつい。」

ついって…なんじゃそら。

太「ほら出来たよ。…包帯巻く？私とお揃いだよ？」

「巻かなくて良いよ。取るの面倒だし。」

太「よし、巻こう！」

話を聞けと云う私の思いも儚く散り、鼻唄を歌いながら包帯を楽しそうに巻く太宰。何時も巻いている所為か上手い。

巻かれた包帯を暫し見つめる。何で太宰は包帯巻くんだろう、そんな疑問を抱いたが如何せ下らない理由何だろうと思い口を閉ざす。

太「そんなに嬉しいのかい？私とお揃いで。」

「は？」

顔を上げるとニコニコと心底嬉しそうに微笑んでいる太宰の顔があった。多分包帯を見てたからそう思ったのだろう。だが此処で、嬉しくないなんて云ったら不貞腐れるに違いない。其れに＿＿



「別に嫌じゃない。」


そう云うと微笑みながら私を抱きしめる太宰。やる事成す事、あの自 殺行為を止めさえすれば此奴は完璧なのに。

太「あとお互い好きって事もお揃い！」

「其れお揃いって云う！？」

肯定する様に先刻より抱き締める力を加える太宰に口元が緩む。


「やっぱ湿布だけにすりゃ良かった。」


湿布の匂いよりも、太宰の匂いが一層私を包み込んだ。



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