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「……呪術界についてどう思う?」
「えっ?」
いきなり問われた。難しい質問。
私は顔を上げることが出来ず、意図を汲み取れない。
呪術界、良い場所な気もするが…。
そう思っていれば、不意に思い出す、飛び降りようとした女の子の事。
“…仲間が、死んだの”
“私達は全員4級だったのに、何故か2級の任務に回されて…”
彼女の言葉を思い出した時には、口に出ていた。
「…良い人は沢山いらっしゃいます。尊敬出来る方も沢山いらっしゃいます。でも、理不尽な時もあると思います」
率直な感想。垣間見えた呪術界の裏側は、暗かった。
「前回の任務で、呪詛師の女の子と話したんです。その時、女の子のご友人が、殉職だったらしくて。その時、もっと尽くせることはあったんじゃないかって思いました」
まだここに来て少ししか経ってない。だから、言葉に重みはない。けど、五条さんは静かに話を聞いてくれた。
「図々しい意見かもしれませんが…私なりの答えはこれです」
「……思慮深くていいね。僕も君の言う通りだと思うよ」
フッと、肩の力が抜けた。五条さんが笑ったからだ。
「悠仁の件はね、上からの嫌がらせなんだ。君の話す呪詛師の事も、きっと上から恨みを買ったんだろう。僕は、そんな呪術界をひっくり返したい」
「それはつまり…変革という形で……」
「そ、強く聡い仲間を育ててね。だから先生をやってる」
カッコイイ、面白い、凄いと思った。
この人は強いんだ、人間として、生き物として。大きな夢の為にちゃんと計画している。いい加減に見えて、形の確かな人だ。
「君には、その仲間になって欲しい。その決意が、僕は欲しい」
「私なんかでいいんですか?」
「何言ってんの。最強直々のスカウトだよ?それに、プレゼントは何でもいいって言ったのは君だしね」
拒否権は無いわけか。そう思ったけど、嫌な気持ちはしなかった。信じられる方について行こう。
「微力で良ければ、いつでも私の事は使ってください」
「交渉成立だね」
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「今日はありがとうございました。素敵な休日を過ごせました」
呪術高専に戻ってきた。腰からしっかり頭を下げる。
辺りはすっかり暗い。
「そりゃ良かった。僕もそろそろまた任務が始まるからさ、終わったらまたデートだね」
「あはは、そうですね。楽しみにしています」
では、と言って、自室の方へ足を向けた。今日は、よく眠れそうだ。
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作者 - 紅葉さん» 弐の方にもコメントしてくださっていたんですね!気づくのが遅れてしまってすみません!読んでくださってありがとうございます! (2021年2月24日 22時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 五条先生の創作アルバム怖いですね……最後のセリフで「ヒェッ」ってなりました……。面白いです! 真希さんのツンツン具合がまた好き……続き読んできます (2021年2月22日 8時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - ゆうなさん» わっ、本当に申し訳ございません…。修正させていただきました!今後も当作品をよろしくお願いします! (2021年2月6日 23時) (レス) id: abf4ad4153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな - いつも楽しく読ませて頂いています!あの、22話くらいから、名前変換ができなくなっている気がします。華瑠→華琉になっているからだと思われます!此方の不具合でしたらすみません…これからも応援してます!! (2021年2月6日 11時) (レス) id: 3ecb08afbf (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年1月26日 23時