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次の日、私と野薔薇は寮の共同スペースで向かい合っていた。
「もう一回言ってみなさい。A。」
野薔薇は低い声で言った。野薔薇の茶色い目が鋭く私を睨みつける。その目をまっすぐ見返しながら、私はゆっくりと言葉を復唱した。
「野薔薇に、怒られる、筋合いは、ない。」
ダンッ!!と大きな音がした。野薔薇が大きく足踏みをした音だった。衝撃で壁と、遠巻きにこちらをみている虎杖くんと伏黒君の体が揺れたのがわかった。
「もういっぺん言ってみろ!!!」
「なんど、でも。」
私は変わらない声量で繰り返した。
「野薔薇に怒られる、筋合いは、ない。……もう一回、言おう、か?」
野薔薇の額に青筋が浮かび上がった。
「ふざっけんじゃないわよ!」
もう一度、ダンっと床を踏み鳴らす野薔薇に私は至って冷静に返した。
「ふざけてるのは、どっち。さっきから、ぐちぐち、ぐちぐち、野薔薇は私が悪い、悪いって。……言っておく、けど、野薔薇は、自分で思ってるほど、偉くない。そんな野薔薇に怒られる、意味が、わからない。」
「ちょちょちょちょっと落ち着けよ小松!釘崎も、な?!」
虎杖君が私と野薔薇の間に立った。そして伏黒君を必死にて招いたが、伏黒君は全力で首を横に振っていた。
「そもそも、なんでこんなことになってんの。」
虎杖君の質問は、完全に火に油だった。虎杖君の言葉にまず反応したのは野薔薇だった。
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しょーどくえき - わ!すっごくおもしろいです!続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね! (2021年6月20日 16時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます!この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました!更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます!スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります! (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月28日 17時