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目を覚ました。

そう表現したのは、それ以外に何もできなかったからだ。つまり、私は人間が目を覚ました時に取るだろう一連の行動。

目を開ける、時間を確認する、身じろぎをする、起き上がるといった行動が取れず、ただ目を覚ましただけで終わってしまったのだ。

どうしてかは、なんとなくわかっている。この目元に巻かれた目隠しと、手足を拘束している縄のせいだ。

それをなんとか引き千切ろうと思ったが、不思議なことに力を込めようとしても力が入らない。

どうしてこんなことになっているのか、それを思い出そうと少し頭を動かしたところで、私は息を飲んだ。

「野薔薇!!」

私は叫んだ。

「野薔薇、野薔薇、野薔薇ァ!!」

私は思い出した。渋谷に向かった時のことと、その後のことを。私はつぎはぎの体を持つ男の呪霊と戦い、最後に負けた。薬を打ち込まれて奴に渋谷中を連れ回された後、野薔薇と出会ったのだ。

野薔薇は私を助けようとしてくれていたのだ。それなのに私は薬なんかのせいで、野薔薇を正しく認識できずにぼーっと野薔薇と呪霊が戦っているのを見ていたのだ。

私は拳を作り、歯軋りをした。

あの男……真人が野薔薇を殺そうとしているのを、私はただ見ていたのだと思うと、腸が煮えくり返る。

ここに私を連れてきたのはきっとアイツだ。真人をもう一度、殺してやる。そう思った瞬間、目が焼けるようにいたんだ。

「ぐっ……!」

その痛みに思わず唸る。これは一体、なんだと考えていると、ギィッと重い扉が開く音がした。

「もう目が覚めたのか。」

真人の声じゃない。眉を潜めるとまた目が痛んだ。

「誰。」

私が問いかけると、見えない男は低い声を震わせて言った。

「夏油傑、と言ったところで君にわかるのかな。」

夏油。その名前を聞いて私は真人から聞いた言葉を思い出した。

夏油がさ、君に会いたいんだって。

こいつが夏油か。真人の言葉をそのまま受け取るなら、真人が私を渋谷に呼び出したのもそもそもはこいつに言われたからだ。

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しょーどくえき - わ!すっごくおもしろいです!続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね! (2021年6月20日 16時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます!この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました!更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます!スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります! (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月28日 17時

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