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「虎杖!!アンタも見てたでしょ?!Aが考えなしにあの呪霊の血に触ったあれよ!」
野薔薇の言葉にすかさず私は反論した。
「考えなしって、言葉は、違う。そもそも私が、あいつと、会敵した時、あいつの能力は、まだ、わかってなかった。」
「じゃあ二回目は違うでしょ!なんであの時手ェ出したのよ!」
「だって、あれ、野薔薇に当たる、ところだった。」
「助けてくれなんて頼んでないわよ!!」
その言葉を受けて、私は眉を潜めた。
「そうだね。当たれば、よかった、かもね。」
「小松!!言い過ぎだって!!」
虎杖君が私の口元に手を出した。けれど私はその手を無理やり曲げるようにして退けた。虎杖君が痛ッッッテェ!と叫んだのを見て伏黒君は手で印を結ぶ動作をした。
「おい、いい加減に。」
「大体ねぇ!!」
野薔薇の大声が、伏黒君の声を遮った。
「アンタは弱いくせに、でしゃばり過ぎなのよ!弱いんだったら弱虫らしく、身の程をわきまえさないよ!!!」
大声でそう言い切った野薔薇は肩で大きく息をした。そして、ハッとしたように顔を上げた。
「A…。」
野薔薇の視線を感じる。けれど私はもう、野薔薇の顔が見れなかった。私は野薔薇から顔を逸らした。
「……そう。」
私は野薔薇の言葉をゆっくりと呑み込みながら、返事をした。
「そう、思われてたなら、仕方ない、ね。」
それ以上は言葉を紡げなかった。やり場のない気持ちをどうすることもできなくなり、私は出口へと向かった。
「小松!!」
虎杖君の声が聞こえたけれど、私は振り返れなかった。今振り返ったら、目があってしまう。目を合わせてはいけない、と私は目元を隠したまま寮から逃げ出した。
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しょーどくえき - わ!すっごくおもしろいです!続きがとても楽しみです!頑張ってくださいね! (2021年6月20日 16時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 今は死滅回遊ですよ!!!続きがとても楽しみです!!! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 無気力なおバカさん» コメントありがとうございます!この展開は読者様には不評かも、なんて考えている折だったので、これからの展開が楽しみというお言葉に救われました!更新頑張ります。 (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 糸野さん» コメントありがとうございます!スリルのあるなんて素敵な言葉をいただけて嬉しいです。更新が滞っていますがこれからもドキドキさせられるよう頑張ります! (2021年1月2日 23時) (レス) id: c6d1d3b3eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです。これからの展開がすごく楽しみです。キャラ達の関係とかもすごく好みです。更新頑張って下さい! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月28日 17時