story44 戦い ページ45
【総悟side】
A姉が来てくれたおかげで一人あたりの隊士の量が減った。そして、背中を預けられる仲間がいるだけで、頼ることができる。俺は俺の近くにいる隊士を斬ったら、A姉の所へ行こうと思ったが、A姉も俺と同じ実力があることを思いだしたからか、俺の口元が少しだけ緩んだ。
「……っは!……くっ!」
向こうからA姉の息と共に漏れる声が聞こえる。いつもより辛そうだ。一人一人は俺達の強さには敵わないが、とにかく人数が多い。しかも、こうなることを想定してかいつもよりしっかりとした作戦が組まれていて、そこそこ手強い。
「……っはぁぁぁ!」
A姉の声が変わった。呻くような声に。よくみると、A姉の周りの方が強い隊士が多くいる。そして仲間を大切に思うA姉は、自ら少しブレーキを掛けてしまっている可能性がある。俺は周りの敵を早々に倒さなくてはと思い、さっきの考えを消し去り剣を振るうスピードを速めた。
そして、ようやく隊士を斬り終わったときA姉が崩れ落ちた。
「A姉!大丈夫ですかィ?」
めったにこんなことが無いA姉は、腹を押さえて、なんでもない。安心して、と少しだけ震えた声で言う。いつもの無表情も今は歪んでいる。
さすがに俺も、怪我してる姉を無理矢理歩かせたりはしねェ。という事で、俗に言うお姫様抱っこというものをして血まみれの車両から出たのであった。そのとき既にA姉は意識を失っていたため押さえていた、傷口からドクドクと溢れそうな位いや、溢れてんのか。とにかく大量の血液が流れていたためスカーフで止血をした。
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako_uranai
作成日時:2018年2月5日 13時