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story17 初恋 ページ18

【Aside】

ずっと、総悟と土方の手合わせを道場の外で見ていた。男のプライドが、あるだろうから私は何があっても割り込まないと、決めた上で。
「土方さん。姉上がずっと結婚しなかったのはアンタのこと……」
私の耳には、その言葉が飛び込んできた。

「みんな、江戸で一旗あげるって本当?」
「……誰から聞いた。」
姉上と土方が話している。その光景を、私は、総悟と木に隠れて見ている。
「そーちゃんとAちゃんが……昨日、意気揚々と。」
「あのバカども。」
土方の言葉に、少しドキリとした。言っては行けなかったのだろうか。
「……私も……連れていって。私は……あの二人の親代わりだもの。あの子達には私がいないと……」
そこで、私はゴクリと息を呑んだ。
「それに……私……みんなの……十四郎さんのそばにいたい。」
「A姉どうしたんです?」
総悟の言葉で私は、自分が泣いていることにきずく。その後の話は聞かずに逃げ帰ってしまった。次の日総悟から教えてもらったが。

これが、私の初恋。

そこまで考えた所で目が覚めた。素早く立ち上がり私は、道場を離れある人物の所へ向かった。
部屋の襖を開けながらこう言った。
「土方、ちょっと話があるから入るぞ。」
「もう、入ってるだろ……」
ため息を吐きつつ土方が言うが、聞こえない聞こえない。私は、そんなことは気にしない主義だ。
「土方、姉上の妹として頼みがある。姉上が、もう長く無いのは知ってるだろ。姉上が逝くまで待っていて欲しい。何かは、分かってるよな。」
「お前らは、姉弟揃って……」
土方の言いたいことはわかる。そして、私は一言付け足した。
「次は、真選組総長としての頼みがある。もし、転海屋を粛清するときは、ひとりじゃなくて、私も連れていけ。」
「いいのか?お前の姉貴の幸せぶち壊す事になるぞ。」
姉上が、幸せになって欲しい。それは、私も総悟も同じ事を考えている。だが、犯罪者とくっついて幸せになれるとは思えないだけだ。そして、土方を総悟と私以外に殺されたくないだけだ。
そんなことは言えない私は、質問には答えずこう言った。
「珍しく仕事をやる気になっただけ。」

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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako_uranai  
作成日時:2018年2月5日 13時

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