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猫好き同盟が築かれるまで(回想) ページ38

見られてしまった場地と見てしまったA

お互い気まずい気持ちで沈黙が流れる所に
猫のおやつを買いに行っていた千冬が現れた

最初はキョトンとしていた千冬は
その場の空気の悪さに耐えかねて声をかける

千冬「あれ?…確かAさんスよね?こんな所で何してんですか?」

A「あの…自主トレ中で、ランニングを」

千冬「なんかやってるんですか?」

A「陸上部なの。それでたまたま通りかかって」

当たり障りない雑談をし
そろそろその場を立ち去ろうと振り返ると
ちょうど川を流れるダンボールが目に入った

流れていくダンボールを
何の気なしに目で追っていると
ひょこっと覗いた小さな耳

A「あ…」

気づいた瞬間にはもう体が動いていて
全力でダッシュし息を乱しながら走る

川の流れは少しづつ速くなっているが
今のところAの全力のが速い

ダンボールを何とか追い越し
川にかかる橋の真ん中から
躊躇なく川の中へ飛び込んだ

そこそこの深さがある川のお陰で
大した怪我もなく飛び込め
目的のダンボールを抱き抱える

片手にダンボールを抱え
流されないようもう片腕に
土手に植わる背の高い雑草を巻き付けた

土手付近の川底は足が着くもののぬかるみ
足を動かすたびに土が舞い上がって水が濁る
丈夫そうな雑草と言えど
無理に引っ張れば途中で切れてしまいそうだ

流れも穏やかそうに見えて
深さがあるため以外と速い

最近雨が降っていなかったのが
せめてもの救いで
もし雨で水嵩が増えていたら
A程度軽く流されていただろう

とりあえず水を吸いきる前に
ダンボールだけでも土手に上げたい

千冬「Aさん!」

A「千冬君、受け取って!」

水を吸って形を失いつつあるダンボールに
もう手段は選んでいられない

ダンボールを力一杯千冬に向かって投げた瞬間
支えにしていた雑草がブチっと千切れた

重みで思ったより飛ばず落ちていくダンボールを
Aは体制を崩し倒れながら
強ばった顔で見つめることしか出来ない

Aが倒れ水中に沈んだ瞬間
千冬は片足を川に突っ込み
落ちてくるダンボールを両手でキャッチした

そして同時に川の中へ飛び込んだ場地が
沈んだAを抱えて水面に顔を出した

場地「なんだよ、この川底は。全然足が踏ん張れねぇ」

ぶつくさ言いつつ背が高い場地は
Aよりもしっかりと川の中に立っている

場地「お前先に上がれ。おい!千冬、手貸せ!」

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くらら(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます (2022年6月12日 13時) (レス) id: 10f98cb4da (このIDを非表示/違反報告)
- 三ツ矢ではなく三ツ谷です…。作品自体は面白いので少し勿体ないような気がしました🙇‍♀️💦 (2022年6月12日 12時) (レス) @page5 id: 645db5c9a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらら | 作成日時:2022年5月30日 3時

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