三ツ谷宅2 ページ16
三ツ谷の手を振り払いたいとも思わない
A「でも私、今日は困るって言うか…」
出来れば三ツ谷に知られたくなくて
思いつめた顔をするAに
三ツ谷はとりあえず座るようすすめる
促されるまま居間に座らされ
テーブルにお茶まで出してくれる
三ツ谷「俺には話せないことか?」
A「そういう訳じゃないの。ただ…恥ずかしいっていうか。情けないっていうか…」
言っていて自分がただ
つまらない意地を張っているのだと気づく
恥ずかしくても情けなくても
心配してくれている人相手に
意地を張って迷惑をかけたい訳じゃない
Aは1呼吸置いて覚悟を決める
A「あのね。ウチ姉が1人いて。必死で働いてくれてるんだけど、その姉と折り合いが悪いって話はしたよね」
三ツ谷「ああ。聞いた」
A「その姉が今夜は部屋に男の人を連れてきてて。だから今夜は帰るわけにはいかなくて」
三ツ谷「帰るわけ行かないって。そんな訳には…」
A「大丈夫。今までも上手くやってきたから。隠れるところ見つけるの上手いんだから。知ってるでしょ?」
Aの言葉に
三ツ谷は学校の秘密基地を思い出す
その上でため息をつき
やれやれと片手で頭を押さえた
三ツ谷「今までにもあったのか?」
A「時々」
三ツ谷「その間どこに隠れてんだ?」
A「その度に違うけど廃墟とか無人の境内とか、1番多いのは公園かな。トイレもあるし、屋根のある遊具が選び放題だから中にいればまず見つからないし」
三ツ谷「携帯出せ」
A「携帯?良いけど…」
戸惑いながら三ツ谷に携帯を渡せば
少し操作した後携帯を返される
三ツ谷「次から何かあったらすぐ俺に連絡しろ。いいか、絶対だぞ!」
携帯の中には三ツ矢の連絡先が
新しく登録されていた
三ツ谷「それから今日はお前泊まっていけ。そこの布団使っていいから」
A「え!いや、でも」
三ツ谷「いいから。そんな話知って俺が野宿なんてさせるわけねーだろうが」
A「三ツ谷君はどうするの?」
三ツ谷「男なんて雑魚寝で十分なんだよ」
そう言うと三ツ谷は
畳の上にゴロンと横になり
話は終わりだとばかりに
寝息を立て始めた
しばらくアタフタしていたAも
三ツ谷の優しさを無下に出来ず
ありがたく布団を借りる事にする
三ツ谷の妹達と並んで
布団に横になっているのが不思議で
でも何だか嬉しい
三ツ谷の香りに包まれて
ドキドキと心臓が暴れまわり
しばらく眠れそうにはなかった
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くらら(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます (2022年6月12日 13時) (レス) id: 10f98cb4da (このIDを非表示/違反報告)
あ - 三ツ矢ではなく三ツ谷です…。作品自体は面白いので少し勿体ないような気がしました🙇♀️💦 (2022年6月12日 12時) (レス) @page5 id: 645db5c9a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらら | 作成日時:2022年5月30日 3時