検索窓
今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:71,621 hit

9話 ページ10

でも、そう。型にはまらないというか…


《少なくともAが卒業するまで五条家との貸し借りとか、あんまり深く考えるな。教師は生徒を導くものなんだから、ノープロブレム!》


五条は如月(生徒)に甘かった。


『ぇえ…?』

これには、思わずAも苦笑い。

格好良く言えば“寛大”だろうが、彼の言葉を訳すと“使えるものは使え”というふうになる。

つまり“頼れ”でなく“使え”だ。これではまるで五条家は如月家のスポンサーになりますと言っているようなもの。
伊地知さんには聞かれてしまったけど、“窓”には皆縛りがかかっていると言うし、別にこれが知られたって、せいぜい上にどっぷり目をつけられるだけで特に困りゃしない。

ただあまりの甘さに『いいのかそれで』と周りの人間まで放心してしまうのだ。



“上”という立場は祖母だからこそなり得たもの。御三家でもない、お祓い中心だった如月家は紛うことなき紛い物だった。その認識は何百年経った今でも、なくなることはない。


ふと空が暖かい色に変わって、タイムリミットが迫っていることに気付く。




「…!Aさん」

『っあ、はい……?』


伊地知さんに端末を渡された。送り主は意外にも七海さんで、呪詛師を捕まえたのは七海さんだったらしい。メールで事件の詳細が大まかに書かれていて、写真もあった。


「これなんですが、何処かで見たことがあって…」


そう言いながら伊地知さんが写真の一つを拡大する。
赤に紛れる黒い線。恐らく墨であろうそれは天井を覆うように咲き乱れている。



『………花?』


タブレットを見つめる2人に、影がかかった。

10話→←8話



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
548人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。