19話 ページ21
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『君さぁ、本当に無理しなくていいから…バカなんだろ』
「…だから、俺は、バカじゃない」
夕飯時、ヒレカツにソースをかけながら目の前の剣城に声をかけるA。
御影もよくやるなと珍しく剣城に同情しつつ、口頭で一つの計算式を述べるAからすっと目を逸らす。
この流れもなんと本日10回目。
高校生なら解けるような問題を出して、バカじゃないのならこれくらい解けるだろ?という顔をするのだ。まあ実際、義務教育をきちんと受けていたらこれくらい解ける。解けなかったら学力的にばか。それは同意。
『8+8×2÷4を計算せよ』
「…8」
学力的にばか立証。
『ちがう12。掛け算の前に足し算したろ?』
やっぱばかじゃん、と言うとついに落ち込んでしまう。6回目までは怒って対抗していたが、流石に疲れてしまったようだ。それでも、やはり悔しいようでプルプル震えている。
荒々しく空の食器が乗ったトレーを持って返却口に向かう剣城に、ニヨニヨとした視線を送る。
やめとけ、気持ち悪いぞ。
ヤベェやつだと思うと同時に、彼らは思った。あれ、そういや剣城ってそんなに馬鹿だったっけ…と。
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作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時