検索窓
今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:71,629 hit

18話 ページ19

.


『は、ぁ___ハックシュイ!!!』

Aはついに鼻の奥が痒くなって、体から湧き出た衝撃に目を瞑った。するとまた埃が舞って、はっくしゅん。止まらない連鎖に涙目である。


くしゅん……っくしゅん、ぶえっくしょい。


…永遠かと思われたくしゃみが、大きなものを区切りにようやく落ち着いたようだ。

その後も時々くしゃみをしながらはたきを振っていると、反響した複数の声が聞こえてくる。
一瞬暴動かと身構えたが、声の感じからしてそういえば試合中なんだっけと思い出す。

先日からのチーム内のいざこざがどうなったのかも気になっていた。御影との約束もあるし…。

Aは脳内に地図を広げた。







____ビュンッ。

緑の芝生が目に入った途端、目の前を走り抜ける千切豹馬。目的地に到着したと同時に目の前を飛び出した赤色にAは思わず顔を仰け反らす。

先日の試合で己の鎖を引きちぎった彼の脚は力強くピッチを駆け回る。
そして同チーム、ジャンプ力を武器とするおかん的な立ち位置だった久遠は端に。彼は先日裏切りをして皆の心に負の感情を植えつけたことで有名である。


さて、そのおかげかな。監獄内は呪霊の格安セールが開催されていた。
今日もまた、その呪いの根源、標的である久遠に呪霊が纏わりつく。背中から頭にかけてだらり、ともたれつく呪霊。心なしか久遠の頭はそれを避けるように右に傾いていた。

呪力を飛ばし呪霊が消えると同時に少量の呪力が戻る。それを6回ほど繰り返し、円滑になった呪力の流れを確認すると壁に背を預けた。


Aの術式は祓った呪霊を自分の呪力として変換できる。
ただし、血液やリンパのように循環が悪くなると不調が出るし、自分の呪力に変換、とまるで底なしのような表現だが実際は違う。
器の技量によって上限が変わるのだ。例をあげるなら身体能力、元の呪力量など。

ちなみに余った呪力は消える。
正直勿体無いと思う。


.

追加→←17話



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
548人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。