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15話 ページ16

見覚えはあるのだ。呪術関係者なのも間違いないはず。

Aは満面の笑みを浮かべる坊主君に曖昧な笑みを返した。どうしても彼の名前を思い出せないのだ。

坊主君はそんなこともつゆ知らず、昔Aに助けてもらったのだと思い出話を語っていく。

できることならさっさと自己紹介済ませて夕飯を食べたいのだが、このまま彼の思い出話に付き合うとかなりの時間を食ってしまう。
空腹が苦手なAは口角と共に己の心も引き攣っていくのを感じた。
とたん、何故か背中に寒気が走った潔は天から舞い降りてきた使命感のまま、残った皆をさりげなく食堂へ誘導する。“潔はいいヤツ”と心にメモりながら彼らの後ろをついて行った。




「Aさん、夕飯まだだったんだね」

ご飯の乗ったお盆を持って近づくAに蜂楽が言う。Aが『食べながらで申し訳ない』と笑うと、「気にしないでください!遅くまでありがとうございます」と返された。できた子達である。

『(ま、同い年だけど。)』

Aはシュウマイを1つ口に放ると、自己紹介をお願いした。勿論Aは彼らを知っているが、流れとして必要だろう。

食堂に残ったのは潔、蜂楽、五十嵐、成早の4名で、残りは早く体を休ませるために部屋へ戻って行った。戻り際、「後で詳しく教えろよー!」とか何とか言っていたので、チーム内の仲は良好らしい。

ちなみに例の坊主君は自己紹介のときに成早がイガグリと呼んだことにより、五十嵐家の人間であることが判明した。

話は進み、五十嵐がAを命の恩人と呼ぶ理由まで進んでいた。Aも夕飯を食べ終わり、今は緑茶を啜っている。

「にしても命の恩人か…。チワワに追っかけられて助けてもらったとか?」

「ウー……ン、いや…うん。もっとでかいやつだったけど、そんな感じ」

「潔はチワワにどんな思い入れがあるわけ?」

「そんな感じ」と返した五十嵐はともかく、よりによってチワワに追いかけられるという可愛らしくも現実味のある出来事を例にした潔にツッコミを入れる成早。
本当に追っかけていたのは犬なんて可愛らしいものではないのだが、その辺は濁した五十嵐。
真相を知るAは隣で「Aさん強〜!」という蜂楽の歓声に、照れたように笑った。

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作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時

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