13話 ページ14
徐々にAの扱いが雑になっていく絵心。意外な優しさはあっても、酔っ払い(違う)の付き合いは嫌らしい。
一方、Aも自身が深夜テンションに入ったことは察している。きちんと話をするために頬を両手で引っ張って眠気を覚ました。
『どこまで知ってるんですか?』
「呪霊と術師、呪物、呪詛師の存在。呪術師の育成機関。あと、御三家には重宝してる術式があるってことは知ってる」
いざという時協力してもらうため、10年前の知識に誤りや不足点がないか訊くと、ただの巻き込まれた一般人の持つ知識を超えるワードをすらすら並べだす。
結構知ってるんですね、と表面上穏やかに相槌を打つAだが、心の中では当時担当した呪術師に同情していた。
『(問い詰めたな…)』
そんな勘を裏付けるように、絵心は探る瞳を隠そうともしない。
「今度はこっちのターンだ。まず、あのスーツマンはスタッフか?少なくとも視える側だろ」
これから己との関わりが多くなるであろう人物から探る絵心。
あんだけ呪術界偶知ってたら今更そうな質問である。
聞きたいことは直接聞きそうな彼も多少警戒はしているようで、随分と遠回りな選択をしたことを意外に思った。いや、ただ線引きが上手いのか。
『補助監督です。主に任務の情報を伝えたり、“帳”っていう結界を下ろす役割の人で、“窓”とも呼ばれてます』
「窓口のパクリか。次、Aちゃんの等級は?」
『っへ?……あぁ、』
“パクリ”に意識が向いたAは急に自身について訊かれたことへの驚きから大きくと瞬きをすると、自身の身分証を取り出した。
『…一級です』
一連の流れを見た絵心は一瞬、普通忘れる??とツッコミそうになったが、「…そうか」と呟くだけに止めた。
なにより、自分に嘘を吐いていないと分かったことの方が重要だったので。ウン。
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作者名:雨が好きな人 | 作成日時:2023年1月11日 18時