84松 ページ33
「ごめん、いきなりあんな音したらビビるよね。怖かったよね、ごめんね」
「………、いえ、大丈夫です。一松さん達で安心しました…。でもどうしてあんな入り方を…、それに山中さんまでどうして?」
まだ震えてはいるけれど先程よりは落ち着いた様で、Aは山中さんに目を向けた。
視線を送られた爺さんはというと、まだ険しい表情でAの顔を見ていた。
「あの、山中さん?」
「………Aちゃん、お父ちゃんに会ったんけ?」
“お父ちゃん”
この言葉にAは目を丸くし、ヒュッと小さく息を呑んだ。
「……………ど…して……」
「兄ちゃんから聞いたんよ」
「え、いや俺は墓参りの時に知らない人に会ったって話をしただけなんだけど…」
というか、これは一体どういう事なのだろうか?いくらなんでも急展開過ぎる。
お父ちゃんに会ったって、一昨日Aが話してくれた離婚した父親の事?
いつ?どこで?
というか、聞いた限りじゃAが生後間もない頃に離婚したんだから、顔すら覚えていないのではないか?
……ていうかちょっと待て。もしかして、俺があの時に会ったのがAの父親だったのか?
聞きたい事が山程ある。だけどここは二人の会話を邪魔しない方が良いと考え口をつぐんだ。
「で、どうなんよ?会ったんけ?」
「……………」
「Aちゃん」
「山中さん、一旦二人だけで話しがしたいです…」
「……」
爺さんは少し考えてから、一回席を外して欲しいと俺に言ってきた。
俺は話を聞いていたかったけれど、爺さんがなんとなく威圧を掛けてきているように感じたから渋々Aの部屋を後にする。
あわよくば二人の会話を聞いて今回の事態について自分なりに把握したいと思っていたけど、こう言われてしまっては引き下がるしかない。
「という訳で今は居間にて待機してるんだけど、俺はどうすればいいの?正直この空気耐えられないんだけど」
《いやそんな状況報告をいきなりされてもこっちだってついていけないんだけど》
緊急事態という訳で電話越しに臨時定例会議を開いた。
この事態に俺はどうすればいいのか兄弟の意見を聞きたいというのは勿論だけど、なによりこの注射の順番を待つかのような居心地の悪い時間を一人で過ごすのは耐えられなかったから。
掻い摘まんでAの事をある程度説明したけれど、当然ながら兄弟達の反応は戸惑いに満ちていた。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時