日常8『怪談』 ページ11
夜。静まり返った暗い和室に蝋燭が一本灯り、小さな炎がチラチラと揺れている。
現在時刻、十九時三十分。
「その日の夜は嵐が酷く停電が起こっていました。私は居間で嵐が過ぎるのを待っていたんですけど、ガタガタとどこからか音が聞こえてきまして…」
「…」
「その音は台所から聞こえてくるのに気づいた私は、勝手口の立て付けが悪いのかと思って真っ暗な中手探りで台所に行ったんです。案の定勝手口のドアが音の発信源で、私はどうにか音を止めようと思って扉に近づきました。そしたらバンッ!!と大きな音が」
「!」
「ドアの窓には大きな手形が付いていました。そして立て続けにバンバンッ!!と何度も叩いてきて、驚いて逃げようと思ったんですけど、それよりも先にドアが強引に開かれました。そこにいたのは一人の男性で、ポタポタと雫を滴ながらいきなり家に入ってきて」
「……」
「腰が抜けた私は動けなくて、震えて男性を見ることしかできませんでした。男性の顔は暗闇のせいで見ることができません。ギシ…ギシ…と床を軋ませながら、男性は私の方に近付いてきて、そして目が合った瞬間」
「――っ!」
「『もっこが出よったぁぁぁ!!』…と」
・・・・。
「“もっこ”って何?」
「方言でお化けとか、そんな感じの言葉らしいです。本人もよく分からないって言ってました」
夕飯の後の談笑時間。
今の時期にはテレビでよくやる心霊特集の番組を二人で見ていたらそういう話題になるのは必然。
Aの話は途中までは臨場感があって良かったんだけど、オチで一気に冷えた温度が元に戻ったような気がした。
「私と山中さんが初対面した時の話です。暗かったので私のことを白いお化けだと勘違いしたようで」
「まさか嵐だってのに差し入れ持ってきたの?」
「らしいです。でもどの入り口も鍵を掛けてたので、ちょっとしたコツで開く裏口から入ってきたそうです。その時初めて裏口を外から開けられる事を知りました」
「家主よりもこの家を熟知している件について」
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時