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よーん ページ6

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放課後、茜色に染まる綺麗な空。


に、なってたら良かったけれど、生憎様にわか雨。しかも結構強い。




折角お肉を安く買えて上機嫌だったのに。一気に気分は台無し。
まあ、天気予報を見ていなかった私が悪いのだが。


店内の隅っこにある傘たちも、ビニール傘なんて無くって普通の紺色の傘しかない。しかも高い。700円なんてうまいぼーが何本買えることか。


もういっそのこと走って帰ってやろうか、と思っていたがそれも無理な話。
なんせ、私の両手はパンパンになったレジ袋で塞がれているからである。流石にこれで走るのはマッチョ以外無理だ。

どうしたものか、と入り口付近で足を止めていると、


「え、日野やん...」


びっくり仰天。目の前には傘をさしてこちらを見ている折原がいた。


「セ、ンラさん......」

「...なんでそんなとこで突っ立っとるん?」



まさか忘れたん?とでも言いたげな顔をして問いかけてくる折原。ムカつかない要素がない。



「ちょっと何処かに落としたらしくって。」


素直に忘れた、とでも言いたいのだが、相手が相手。馬鹿にされるのは目に見えているのであまり理由になっていない言い訳を返しておいた。


ただ、納得いかないらしいソイツは昼も見せた汚い笑みで「へーぇ」と見てくる。変態か。


「それで日野はどうやって帰るん?」

ギクリ。痛いところを突かれてしまった。
どう返そうかとうんぬん考えていた数秒間。少しの沈黙を破ったのは折原の笑い声だった。んふって笑ってる。変なの。


「んふっ...この傘貸したろかぁ?」


まだ口元を押さえながら肩を揺らしている金髪野郎。その身長もぎ取ってやろうか。


「...いや、遠慮しとく。どうせ両手塞がってて持てないし。」


「あー...ポンチョでも羽織ったら?ほら、ちんちくりん感が増していいん...ふっ、ちゃう?んふっ」


「想像して笑わないでよ...ふっ...」


「お前も笑っとるやんけ!」



なんて不毛で意味の無い会話、しかも頭の悪そうな。
そんな楽しいのか楽しくないのかわからない時間を過ごしていれば、どしゃ降りだった雨はどこえやら。とっくにやんでいた。


「じゃあね。」

「ほいよー」



そうやって、二人は背を向けた。
またね、なんて言ってやんない。また、って言うと、会えるって期待してるみたい。だから、お互い言わない。


はぁ、お互いプライド高いねぇ...


なんて笑いながら家路についた。


......
段々イチャイチャぽくなってきてる...

しんさーく→←さーん



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(プロフ) - ぺるはむさん» あっあっありがとうございます!楽しんでもらえる小説目指して更新頑張ります!どうぞお楽しみください! (2019年6月27日 17時) (レス) id: 56e235f694 (このIDを非表示/違反報告)
ぺるはむ - こういうケンカ系の男女の恋愛めっちゃ好きです!これからも読ませていただきます! (2019年6月27日 17時) (レス) id: 134342f6dc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もでらーと。さん» わ!わ!ありがとうございます!もでらーと。さんの小説すごく好きなので、今後の励みになります! (2019年6月26日 18時) (レス) id: 56e235f694 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - すごく面白いです…!坂田家なんですが、読んでる間センラーになってましたw 更新頑張って下さい!! (2019年6月26日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2019年6月25日 19時

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