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吐き出す息は白く、深夜の冷たい空気を肌に感じる。
『有難うございました、お疲れ様でした』
現場まで送迎してくれた補助監督さんにお礼を言って高専の中に入る。
帰ってきたのは夜中で高専の灯りがどこか暖かく感じる。
こんな時間まで任務に行くだなんて、なんて偉いんだろうと自分を褒めてやりたいくらいだ。
校内は勿論誰もいないし、音すらしない。
きっとみんな寝ている。
自室へ向かう途中、談話室にあったソファーに倒れるように寝転がる。
今日の任務は大変だった。
事前に報告を受けていた等級以上の呪霊が現れたり、一体一体の強さはそこまでだったものの、数え切れないほどの呪霊が襲いかかってきたり。
それぞれの呪霊の特性を見分けながら祓わなければならなかった為、洞察力も体力も一気に削がれた気がする。
それに昨日のことでいっぱいいっぱいっていうか。
五条の言葉と夏油のあの悲しげな表情が頭から消えなくて。
そのせいで思うように体が動いてくれなかった。
『もっと強くならなきゃ…』
そんなことを考えていると眠くって次第に瞼が下がってくる。今日はいつもより疲れているみたい。
意識が持っていかれると理解していても、体が重くて動けそうにない。
自室へ行く気力もなく、
私の意識はそのままゆっくりと遠のいていった。
心地の良い温もりと少しの揺れを感じて、うっすらと目を開く。
眠気で意識が朦朧とする中、廊下の窓から差し込む月明かりに照らされて輝く銀色の髪が瞳に映る。
『だれ…?』
こちらに気づいたのだろう。
目線だけ下に向けられ、蒼い瞳と目が合う。
「いいから寝てろ」
『…うん……』
そう呟かれた声と逞しい腕の中が妙に心地良くて。
眠気に勝てるはずもなく、私は再び目を閉じた。
この時、私を抱きかかえていた人が五条に見えたのは夢だったのだろうか。
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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時