13 ページ13
.
『えっ』
彼の発言に戸惑っていると、次の瞬間私はベッドの上で寝転がっていた。
正確には押し倒された。
私の上を跨る夏油が上から私を見下ろす。
「Aはさ、無防備すぎるんだよ」
『はっ?』
「そんなのだと、すぐ悪い狼に食べられちゃうよよ」
私を捕らえるその瞳はまるで獣のようだった。
爛々と怪しげな光を帯びている。
その鋭い視線が怖くて、私は何も抵抗出来なかった。
「…なんてね、冗談だよ」
そう微笑んで彼は私の上から退いた。
でも、私にはそれがどこか酷く冷たく聞こえた。
『か、からかわないでよ』
「はは、いじめ過ぎたかな」
『…はぁ、考えらんない』
呆れてため息をつく私の隣でまだ笑っている夏油。
冗談だと分かっていても私の顔はまだ熱くて、しばらく冷めそうにない。
「じゃ、着替えありがとう」
『え、あ、うん』
そう言って自分のシャツを肩に持ち、医務室から出て行ってしまった。
「参ったな…」
ドアにもたれ掛かり、そう呟いた彼の頬もまた熱が引きそうになかった。
.
2635人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時