間違い電話がかかってきた【文スト】

19コール 奇遇？ ページ21

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彼が私の家に泊まることになってから、数週間が経った


特に何事もなく私達は過ごす事ができている




…いや、もちろん、それなりに変化はあったけど
(彼がお酒やらワインセラーやらを持ってきた所為で今や我が家はプチワイナリーと化している)






そして、毎日毎日、帰る時間がどうだ、とか、夕飯は何がいいか、とか、


何かと理由をつけて彼がかけてくる電話には困ったものだけど…




とはいえ、だ



最初こそ、不安しか感じていなかったマフィアからの監視(？)生活も、いざ体験してみれば大したことないようである



むしろ、楽しくないと云えば、嘘になる




彼の手料理のおかげで私は健康的な生活を過ごさせてもらっているし


彼はマフィアのくせに実は優しい事がわかったし(たまに、否、しょっちゅうちょっと怖いけど)




まあ、私にしてはなかなか上手くやっていけている___と思う









*






『ふう』



帽子の彼と出会った例の喫茶店。私は珈琲を一口飲んで息をついた


やっぱりここの珈琲は最高である

彼と出会ってからも、ここは変わらず通っていた







美味しい珈琲で今日もまったりしていると





「おや、奇遇だね。また会うなんて」




後ろから急に声をかけられる


その声は最近聞き覚えがありすぎる声






…あ、そういえばこの人の事を話すのを忘れていた






私は振り向いて、その人物(、、、、)を見上げた



『“また”っていうか、…ここ最近…私がこの店来る度に来てませんか、…貴方』


「かもね」



そう云って、ふてぶてしくも私の正前の席に座る彼



顔は良いものの、全身に包帯を巻いたその姿は不審者そのものではないだろうか





「君と会えて嬉しいよ」



……紹介しよう。“太宰さん”である



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