顔 ページ41
その涙をどうにかしようとして、手を伸ばせば、いつの日かのように腕を掴まれる。
出会ってすぐの時は力加減ができなくて、私が痛い思いをしたが、今では優しく触れてもらえるようになった。
ぐいっと、引っ張られて触れるだけのキス。信介さんの涙は私の頬を流れていく。
「ほんまは...あんな奴のとこなんかに返したない。一生俺の隣におればええのに、そう思てる。そんでも、Aの運命の人は俺やない。しんどいなぁ、ほんま。すまん、最後の最後に。困らせたかったわけやないねん」
「信介さん....。」
ほな、下に荷物を運ぼうか。そう言って私を引っ張って立ち上がらせ、踵を返して玄関に行ってしまう。
最後の最後に、貴方の本音が聞けて良かった。このまま、信介さんの気持ちを知らず、聞かずに出ていくなんて、したくなかった。
どっちにしろ、私のエゴで。罪悪感を背負いたくないだけかもしれない。それでも、それでも別にいいと、今なら思えた。
「ほな、な。幸せにしなかったら、ほんまにどつき回すでな。侑」
「へ、はい！肝に銘じます」
「Aも、ちゃんと飯食ってよう寝るんやで。あと、侑と喧嘩して家出した時はいつでも待っとるからな」
「はぁ！？ちょ、北さん！それはなしや！」
「....ふふ、信介さん。お世話になりました」
ポンポン、と頭を撫でて侑がいるのに容赦なく額にキスをするあたり、信介さんも肝が据わってらっしゃる。
こうして、私の波乱の二か月は幕を閉じ.....、閉じ....閉じ！！！閉じようとしていたが、閉じなかった！！！！
正座。2か月ぶりの我が家は少々散らかっていたが、まだそこは妥協点。
っていうのはどうでも良くて。
「偉いもん見せつけてくれたなぁ、ほんまに。言い残すことはあるかいな」
「なにも。ない、ないです」
「......ほうか、ほうか。覚悟しいや、歯を食いしばって」
帰ってそうそう、話があるからそこ座れや、とカーペットを指さした侑。車の中では完全に無言で、怒ってらっしゃるのは分かっていたが、怒られる理由がありすぎて、覚悟ができなかった。
現に正座して、私は恐ろしくて彼の顔が見れなかった。
「顔上げろや」
「無理っす」
「いいから上げろって言うとるやろ」
「へぁい」
がしっと、顎を掴まれて久々にみた侑の顔。昨日のお酒がまだ残ってるのか顔色が悪いが、前会った時よりも元気がないのは確かだった。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
