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「誰も退職願を受理するとは、言っとらんやろ」
「何それ、超社畜製造機?」
「お前はいったい俺の事なんやと思っとるねん。失礼な奴やな」
黙って聞け、そう睨みを効かせて言った言葉は、あまりにも衝撃的で、驚きの連発だった。
要約してみれば、お前はまだまだウチで働かせるつもりだから、辞めるなんて言っても意味無いからな、ということ。
「俺と結婚しないなら、その後ろめがたい気持ちは、会社に貢献して返せばええねん」
「ふへー、私の華の寿退社&専業主婦は夢のまた夢かぁ」
「ふっふ、諦めるんやな。まぁ、木村が一人前になったら考えてもええけど」
あはははは、と笑い合う私達を横目で見つつしょげている旦那さん。
なんでそんなしょげているのだろうか。今はハッピーエンドでしょ、普通。
「なんで、なんでそんな北さんにフレンドリーなん!?怖くないんか!?」
「怖い訳がないやん」
「好きな女叱ってどうすんのや」
侑曰く、信介さんは怖い印象しか学生時代からないらしく、しょげているわけではなく、ただビビっていただけだった。
ただ、それだけじゃなくて。家に帰ったら、侑とも少し真剣に話さないと、と肝に銘じておいた。
とりあえず自分のものを段ボールに詰め込めば、4箱で終わってしまった。
信介さんは大体のもんは俺がそのまま使うと言っていたが、それはそれで少し申し訳なかった。
夕方の赤い太陽が部屋を染めて、センチメンタルな気持ちになる。
侑は下で待ってると言って、車で待機。部屋には私と信介さんだけ。別に新年開ければ会社で会うけど、どうしても伝えたい事があった。
「信介さん、ちょっと...」
「おん、なんや」
手招きすれば、ソファーに座って優しい笑み。この笑みを独占させてくれた2か月のお礼を、言わなければならない。そして、なにより謝らないといけない。あなたがくれた愛情を受け取ることができなかったという事を。
「二か月、本当に楽しかったです。最初はしんどかったけど、信介さんが私の婚約者で良かった。そんで....ごめんなさい。なんだか蔑ろにして、自分勝手なんは分かってる。そんでも、貴方がいてくれたから」
「そない、ええこと言ってくれるなぁ。大丈夫やで、Aの気持ちは十分伝わっとるし、もう盗って食べたりもしない。これからは仲の良い上司と部下やけどな。」
そんでも、まだお前のおらん暮らしが想像できへんわ。
初めて見る信介さんの涙は、美しくて、どこまでも透き通ってきて。
私は最後に、とんでもない贈り物を頂いてしまったらしい。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
