言 ページ38
「ふっふ、驚いたやろ。でもこれが答えや」
「え、えー。あ？えええええ？うせやろ、そんなんアリですか。マジか」
「ちょっ、語彙なさすぎや....って、バスタオルが必要やなぁ」
驚きと言葉にできない感情で涙がぽろぽろ流れてくる。驚いた、本当に驚いた。
だって普通、結婚式の準備なんもしてなドッキリなんてないやん。信介さんが洗面所からタオルを持ってきてくれて、ぽんぽん拭いてくれるが、少し納得できないことがあって、信介さんの腕を掴み向き合った。
「お父さんは知ってるんですか、この事」
「知らんやろなぁ。だから明日は3人でお父さんとこ、土下座しにいかなならんな」
「......。」
「なんや、文句あるんか？」
文句、文句なんてそんな人に威張れるような意志は生憎、持ち合わせてはいない。ただ、なんだか、私だって人間だから、そう簡単に切り替えができようにも無かった。
だって、あまりにも信介さんが機械的だったから。確かに信介さんは自分の意思を言葉にしてくれた。それはきっと本音だろうし、何一つ否定することが必要ない事実だ。
だけど、あまりにも信介さんはさっぱりすぎるのだ。侑と信介さんの立場が今、逆転してみろ。きっと侑はぎゃんぎゃん泣いて、私にしがみ付くだろう。
あれ、だめだ、なんか想像しただけで笑えてきてしまった。
「ふっふ」
「なんや、いきなり」
「正直に言ってもええ？」
「おん、なんでも言うてみ」
「なんか、寂しなるなって。寂しなる思っただけ。私にとって信介さんはもう、掛け替えのない存在になってしまったようで。バカね、私.....ごめん」
「......、ほうか。そうやなぁ、そない素敵な事言われてしもうたら、出てけなんて言えんな。この家も会社も」
「あ、いや、出てくよ、勿論！」
結局ソファーに侑を残して、二人でベッドで寝ることにした。信介さん曰く、別に侑に気を遣う義理は無いでな、だとか。
いつも私に背を向けて寝る信介さんだが、今日は私を抱きしめて寝てくれた。信介さんはこれからどうするのだろうか、この家も会社も。私の生活感が残った家なんて嫌だろうし、社長という肩書でお父さんにどうこう言われるのも。
同情したいわけではない、心配なのだろうか。いや、私が心配するのはきっとお門違いだし、迷惑かもしれない。
でも、頑張っている信介さんを一番近くで見てきたのは私で、お父さんの一言で信介さんの未来が揺れるのだけは、見過ごしたくなかった。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
