論 ページ31
まだ10歳を迎えて間もない頃、歩いていたところをひかれて亡くなられた信介さんのご両親。
あれからかれこれもう16年。毎月とはいかないが2か月に一度は墓参りに帰省してくれる、ということだった。
どうせ信介さんの事だから、変に気を使ったか、もしくはおばあちゃんと一緒にいてほしかったのだろうか、私に声をかけてくれることはなかった。
「信ちゃんはほんまに優しくて強い子でねぇ、おばあちゃんの前でも全然泣かんねん」
「なんとなく想像できます、今でも変わらんですよ。仕事で一番大変なのに弱音も吐かんでコツコツ、地道にって感じで」
「そんな信ちゃんがな、昨日の夜遅うに泣きながら電話してきてん、どないしようって」
.
"どないしよう婆ちゃん"
びっくりして目が覚めてしまってねぇ、何年ぶりかしゃん。そう言いお茶とお煎餅を食べるおばあちゃんから私は目が話せなかった。
待って、ちょっと待ってほしい。そんな和やかにこんな話していいものだろうか。
まず信介さんが昨日の夜中に電話をかけたことにも気付かなかったし、泣いていた事にも気付けなかった。
私が泣いてばかりだからだろうか、信介さんが泣いているとこなんて見たことが無かった。
「信ちゃんも分かっとるんよ、何が正しいか。でもねぇ、今回だけは譲りたないってねぇ。だからAちゃんが決めておやり、どっちを選らんでも後悔せん道を」
時間は止まってくれへんし、待ってもくれへんで
おばあちゃんはまたお茶をすすった。
.
正論パンチは粗方おばあちゃんから受け継いだのだろうか。
優しい口調なのに、正しすぎる言葉に再び涙腺に刺激を感じた。
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私がどうしたいか、どうなりたいか。
今でももしそれが叶うなら、誰も傷付かずに終わる方法、選択を教えてほしい。
きっと最善策は私が小林という名字を捨てて、宮になることだと思う。
それが一番、綺麗だとお思う。
でもそれに不安を感じ、躊躇してしまう辺り、今この問題にケリはつけれないだろう。
それでも時間は止まらないし、きっと彼らも待ってくれない。
もう、私を好きでいてくれている確証なんて持っていないから。
.
しかし結局、考えたって何もできず、月日は流れてもう年末。
仕事の間に結婚式の計画に追われ、逃げ道もなくなって。
あの日から毎日届いていたはずのLINEも来なくなり、ただただ起きて仕事寝るの繰り返し。
時間は止まってはくれない。
解っていたはずなのに、分かっていなかった。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
