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『あ、あの、どうぞ…』
このまま行くしかない。
もう私は開き直ったぞ。
この巫女装束を着てから声の主に会うのは、あと何時間先のことになるのか皆目見当もつかない。
??「失礼いたします。…前田藤四郎と申します。末永くお仕えします」
襖が開いたかと思うとそこには、山姥切さんの刀身の半分?くらいの刀が敷居に沿うように鎮座していた。
声は少年のようでも、綺麗な言葉遣いが心地よく耳に入る。
『…あ、えっと、本日より審神者となりました。Aと、申します…』
私も手にしていた巫女装束を元あった場所に戻して彼を向いて礼をする。
小学生の頃、茶道を経験したことのあった私の礼は自分で言うのもなんだが、結構形になっているかもしれない。
…まあ、スウェット姿のせいでそれも台無しなのも事実である。
前田「失礼します…主君、お着替えお手伝いいたしましょうか?」
頭を上げると、小さな刀は私の目の前まで近づいていた。
…着替えられないの、ばれたんだろうか。
神様は、きっと人の心を見抜く力があるんだなあ。
成人女性が甘えてばかりで、恥ずかしい気持ちも勿論あるが、このままいても何も変わらない。
『…お願いします…』
おずおずと白衣を前田さんに差し出す。
…前田さんって、私が所属してた課にいた気がするなあ。
…あれ?…まあ、いいか…?
謎の違和感に包まれるが、前田さんの明るい声によって、私の思考は遮断された。
前田「おまかせください!」
目の前の刀がフワッと浮いた。
きっと彼が立ち上がったのだろう。
神様だからなのか、山姥切さんも前田さんも物音ひとつ立てずに1つ1つの所作を行うのだ。
とても美しい、素直にそう思う。
彼は明るい神様なんだなあ。
騒ぐような性格ではないが、山姥切さんとは違う優しさを持っているようだった。
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ユウカ(プロフ) - 愁(しゅう)さん» 初期刀まんばちゃんなんですね!私は宮崎と同じむっちゃんです!笑 初期刀って愛着湧いちゃいますよね〜(*^^*) (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» いえいえこちらこそわかりにくい表現をしてしまって申し訳ありませんでした!ご丁寧に返信までありがとうございます! (2016年12月6日 8時) (レス) id: fc6ad45da9 (このIDを非表示/違反報告)
愁(しゅう) - 僕と初鍛刀が同じなことに悶えました← (2016年12月5日 22時) (レス) id: 47c2114946 (このIDを非表示/違反報告)
花日松(プロフ) - ユウカさん» そうだったんですか!すみませんちゃんと見てなくて! (2016年12月5日 13時) (レス) id: 6d8f5ab43f (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ(プロフ) - 花日松さん» コメントありがとうございます!冷却材のほうは一応31話のほうで書いているのですが、作者の解釈で大変わかりにくい表記になっていますね…。申し訳ありません!今後はわかりやすいように尽力します!更新頑張らせて頂きます! (2016年12月5日 12時) (レス) id: 090ea0c50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウカ | 作成日時:2015年9月3日 21時