烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、標を ページ24

烏養｢よーし、そろそろ試合すっか！｣



　町内会チームはさすがに人数が足りない。仕方ない、平日だしな。



烏養｢町内会チーム、人数足りねぇからそっちから２人もらっていいか？ それからセッターも｣



　自分がセッターをしたいが、プレーしながらだとじっくり見ることが出来ない。



　少し待っていると、セッターとして色素の薄い奴が出てきた。菅原というらしい。



菅原｢圧倒的な実力の影山の陰に隠れて。安心、してたんだ……！｣



　菅原はきつく目をつぶって言った。



　……何か複雑な事情があるみたいだな。



　菅原の後に続いて、スパイカーとして椎名。リベロとして西谷が入って来た。



　椎名はスパイカーとしては少し小さすぎる気がするが、まあ良い。



　結局町内会チームは菅原、西谷、椎名、嶋田、滝ノ上、内沢、森。



　烏野チームは日向、影山、月島、澤村、田中、縁下になった。



『あ、すみません烏養さん。ちょっと良いですか？』



烏養｢……おう、いいけど｣



　試合を始める直前、椎名が声をかけてきた。



　こいつの顔、どっかで見たことあんだけどな……。思い出せねぇ。



『俺、怪我してて。治ったの昨日なんです。だから途中で休むことがあるかもしれません』



　思いだそうと椎名の顔をじーっと見つめてみる。



　──って、は？！



烏養｢痛くなったら絶対言えよ！｣



『ありがとうございます』



　苦笑いしながら椎名はペコッと頭を下げた。





　……つーか今の怪我の話で思い出した。



　アイツ、千鳥山のエースやってた奴だ。



　いつかの中学総体の準決勝で膝を派手にぶち壊した奴。



　そういえば倒れた所までしっかり見た記憶がある。



烏養｢通り名が｢化け物｣、か……｣



　烏養は｢化け物｣の名に似つかわしくない、その小さな背を見つめた。



　その目には選手とは異なる、指導者としての熱がこもっていた。

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