烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、来い ページ16

『うー、さぶっ』



　そう言ってAは布団の中で体を震わせた。



　今日でAが風邪を引いて４日目。



　運動部で体力はついているはずなのだが、どうにもこの風邪は達が悪かった。



　──プルルル。



　不意に枕元に置いたAの携帯が鳴る。



　Aは風邪特有のだるさに抗い、どうにか電話を取った。



『……はい、もしもし』



縁下｢あ、もしもし。縁下です。具合どうですか？｣



　電話をかけてきたのは縁下だった。



　本来ならば田中辺りが家に突撃して来そうだが、もしや縁下が止めたのだろうか。



『あー、微熱がだらだら続いてる』



縁下｢それは地味にキツイですね……。そうだ、西谷が停学明けて戻って来ましたよ｣



『おっ、そりゃ良かった』



　Aは気の抜けた笑い声を漏らした。





　──西谷の停学。



　その理由はなんとも男らしく、少々理不尽なものであった。



　なんでも、西谷とイジメをしていた不良が喧嘩したとか。



　喧嘩がヒートアップし、どちらがやったのか分からないが、窓ガラスを割ってしまったらしい。



　そして運悪くガラス片が不良に辺り、血を流した所で先生が来てしまったと。



縁下｢──ああそうだ。西谷が｢バレー出来んのになんでエースが居ねぇんだ！｣って言ってましたよ｣



『それは早く行ってやんないと。縁下、大変だな』



縁下｢まったくですよ、もう。早く風邪、治して下さいね。それでは｣



『ん、おやすみ』



　プッと電話が切れる。



　Aは携帯を放るように置き、小さく笑った。



『ちゃっちゃとこの風邪、治さないと』



　｢Aさん！ そんなんだから細っこいままなんですよ！｣と言う後輩の姿がAの脳裏によぎった。



　そしてAは眠りについた。





　──カシャ、とシャッターを切る音を無視しながら。

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