大空495 ページ38
Noside
「ああ〜、盛り上がっているところ悪いが、シアを見逃すことについては今更だと思うぞ？」
ハジメの言葉にピタリと議論が止まりどういうことだと長老衆がハジメに視線を転じる。
ハジメはおもむろに右腕の袖を捲ると魔力の直接操作を行った。
すると右腕の皮膚の内側に薄らと赤い線が浮かび上がる。
さらに、��纏雷��を使用して右手にスパークが走る。
長老衆は、ハジメのその異様に目を見開いた。
そして、詠唱も魔法陣もなく魔法を発動したことに驚愕を表にする。
「俺も、シアと同じように、魔力の直接操作ができるし、固有魔法も使える。
次いでに言えば香織とユエもな。
師匠とヨミさんはできないが、俺らの誰よりも強い。
あんたたちのいう化物ってことだ。
掟に従うなら、いずれにしろあんたたちは化物を見逃さなくちゃならないんだ。
シア1人見逃すくらい今更だと思うけどな」
「ってか、その忌み子の話。はっきり言って矛盾しているんだよ」
カエデの言葉に長老衆はカエデを見た。
「どういうことだ？」
「どうこうもねぇよ。お前らはあの大樹を神聖視しているのだろ？」
「ふむ、その通りだ」
「そこには解放者、リューティリス・ハルツィナの大迷宮がある」
「えぇ…」
「あぁ、そういうことか……」
「確かにおかしいね」
「……ん。矛盾している」
カエデの言葉にハジメたちは理解した。
それにゼルは意味がわからないという感じで叫んだ。
「貴様ら、いったい何が言いたいんだ！？」
「大迷宮の攻略した者は創設した者の神代魔法が手に入る。
当然リューティリスの神代魔法がそこにある。……亜人であるはずのリューティリスのな？」
「「「「「！？」」」」」
これでこの場にいるものたちも理解した。
「要するにお前ら長老衆が守っている掟を作ったリューティリスもまた、お前らの言う忌み子だってことだ。
逆に言えば、シア・ハウリアそいつは魔物として扱うのではなく神聖な神子として扱うべきだってことだ」
「ってか、ただでさえ、そんな珍しい存在を追放するとか馬鹿だろ」
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