絶好の玩具兼餌 ページ4
ガサリ…
「誰だ…？」
何処かで鳴った葉が擦れ合う音
それは野犬等の動物の物ではない
何かが尻もちをついた様なそんな音
ルシアは恐れる事なく音のした方へ向かう
そして容赦なく邪魔な植物をその異形なまでの黒く大きく鋭い爪のある左手で切り裂いた
「っ…！」
「人間の…子供か？」
そこにいたのは赤いＴシャツに茶色の短パン、オレンジのスニーカーを履いた少年だった
しかしその少年は異様なまでに白い肌と髪を持ち、赤い瞳をしていた
その肌には無数の傷があり絆創膏だらけで髪も癖っ毛ではねまくっている
その端正な顔立ちからは想像できないほど、少年は見窄らしかった
少年の周りには持っていたであろう傘とノート、鉛筆が散らばっていた
ルシアはまじまじと少年を見つめるとニヤリと笑った
(なる程、アルビノか…)
アルビノ
人間の中でも極稀に産まれる特異なものでメラニン色素の欠如により肌も毛も真っ白であり、瞳も血管の色が映し出され赤い
しかしその容姿は幻想的で美しい
その反面激しい光に弱く、紫外線に抵抗が無い為難儀な面もあるという
魔界では希少価値のあるアルビノは高値で取引されたりしている
(運がいい…さぞ辛い思いをしてきたのだろう。そんなこいつに一筋の希望を与え、その上で絶望のどん底に叩き落とす…今回はついていないと思っていたが丁度いい。こいつで楽しませてもらうとしよう。)
ルシアは期待に心を躍らせ、そんな悪しき魂胆を悟られぬようなるべく陽気な声で少年に話しかけた
「やぁ少年。こんな時間に一体何してるんだ？」
少年はその問いにハッと我に返ったのか落ちていた自分のものであろうノートに鉛筆で何かを書き始めた
早々と書き終えると少年はルシアにノートを見せた
『むらからはなれたくて、一人になりたくて、こうしてよるにさんぽに出るのがたのしみなんだ。きみのなまえは？』
(ほぉ…言葉も話せないのか…いやはやこれは好都合…)
言葉が話せないのであれば願いは大抵想像がつく
益々期待が膨らむルシアは笑いを堪えきれずクスクスと笑いながら答えた
「これは失礼。私はルシア。大悪魔だ。この辺りで少々仕事をしていてな。その帰りに君を見つけたという所だ。名は何という？」
『アルト・フォルレイオ』
「そうか…ではアルトと呼ばせてもらおう。してアルト、君は何やら訳有の様だが私で良ければ話を聞いてやってもいいぞ？なぁに、悪い様にはしないさ。」
少年は目を丸くすると何かを書きだした
一方自分の魂胆など知りもしないだろう無知な少年の哀れさを笑いながらルシアは少年の話を楽しんだ
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます！今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (
レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます！頑張らせて頂きます！ (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです！これからも頑張ってください！ (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…！ (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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