つまらない ページ3
「はぁ…つまらん…」
そう言って悪魔…ルシアは髪で隠された片目を右手で覆った
というのも、彼女は4日で魔界を支配した魔界の頂点に君臨する大悪魔であり、実際はこんな事しなくても良いのだが、彼女の個人的な事情によりこうして願いを叶えては人間を絶望させ魂を奪い己の力の糧としていた
「まぁ言ってやんなさんな姉貴ー!そりゃ最近おんなじ様な客ばっかで退屈するのはわかりやすが魂が回収しまくれる分にはいいじゃないすか?」
杖についた髑髏はカタカタと音を鳴らしながら流暢に喋った
杖…スカルは魂を溜めておく道具であり心を持っている珍しい杖である
そんなスカルを睨みながらルシアは言った
「黙れスカル!私が欲しい人間共の絶望はこんなものじゃない!もっと…もっと…苦痛に歪みながら…私を憎み、私を恨み、それでもどうする事もできない圧倒的強者の前に絶望し、仇の私に使役され屈辱を味わう…そんな人間の姿を見て楽しみたいんだ…なのに最近の人間共は泣くばかりでかつての強固な意志や憎たらしいまでの根性も全くと言っていいほど見られない!これでは興醒めも甚だしいわ!」
「わ、わかりやした!わかりやしたからワイの頭握りつぶすのはやめてくだせぇ!粉々になっちまいやすよー!」
スカルは悲鳴を上げながら懇願した
しかしルシアの鬱憤は晴れなかった
ルシアは人間が嫌いだった
とにかく嫌いだった
理由等は特にないが人間を見ると無性に腹が立ち心の底から絶望させて悲鳴を聞きたくなって仕方なかった
無駄な命乞い
行き場の無い怒り
惨めな悪あがき
誰か生贄に出そう等という醜悪さ
それら全てを蹂躙し、全て苦痛と絶望に塗り替えるのがルシアの趣味だった
「クソが…あまりにもつまらない…こうなれば近隣の村々でも焼き払いに行った方がもっと面白いものが見れるか?」
かつて一度ムシャクシャしてやったその行為の気持ち良さと快感
それらを思い出しつい笑ってしまった
「でも姉貴ー、あんまり大事にして悪魔祓いでも呼ばれたらたまったもんじゃないっすよー?」
「そしたら魔界に帰ればいいしまた別の場所に逃げればいい話だ。それに、悪魔祓いなんてそう効果はないさ…人間が醜悪で信仰すら偽りじみている今、そうそう効力などありはしないさ。悪魔に願ったほうがよっぽど確実で効力がある。」
「ッスねー。」
「さて、魔界での仕事もあるし帰るか…こんな所にいても森を焼き払う位しかやる事ないしな…」
スカルを魔界にある自室に送り、軽くガッカリしながらルシアが帰ろうとした時だった
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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