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第四話 ページ5

「おい庶民、靴を磨け」

「おい庶民、気分が変わった。別の飲み物を用意しろ今すぐに。」

「おい庶民、何か面白いことをしろ。」

庶民、庶民、庶民……

一を見せしめにしてやろうと、私は全力をかけて無理難題を押し付けた。使い走りから紐なしバンジーまで、本当にそれはもう色々とやった。しかし、いつも奴はなんでもない顔をしてそれをクリアしていく。
紐なしバンジーなどは下に柔らかなマットまで用意させたのに、奴は植え込みをクッション代わりにしてかすり傷で済ませた。


――――― 気に食わない。


己にとって庶民は今まで、自分より下の存在であるはずだったし、それはこれから先もそう()らねばならない。
劣っている点があればきっと水無瀬もメイドたちも自分に失望するに違いないと潮は信じて疑わなかったが、自分がそんなふうに考えているとは微塵も思っていなかった。

焦燥は、彼の中でただの苛立ちへと変換されていった。
何としてでも私が、この手で奴を(はずかし)めなければ気がすまない。

ここまで来れば、それはもはや意地だった。
絶対に我が助手となったことを後悔させてやる、と息巻く潮は少なくとも以前のように退屈そうではなかった。

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作者名:闇鍋ソース&ナイフ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mesemoaLOVE/  
作成日時:2019年8月18日 20時

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